振り返る

 夜中の2時。柊 琴音は仮眠を取っている。


「24時間、ずっと監視されてるのか?」


「そうだ」


「だから二人体制なのか」


「あぁ」


 榊 将太は、すっかりおとなしくなった。自分の行く末を受け入れたのだろう。


『っ、わたしは好きで死神になったんじゃない!!』


 不意にバディの言葉が頭をよぎる。


 好きでなったんじゃない、か…。


 嫌な夢でも見ているのか、白い肌に一筋の涙が伝う。


「…馬鹿な奴」


「あ?なんだって?」


「お前のことじゃない」


「??」


 対象者は、僕の言ったことを聞き返しただけのようだった。キレ気味口調だった為に、僕は勘違いをしたらしい。


 紛らわしい男だ。


「ん…」


 バディが目を覚ます。僕と目が合うと、すぐに逸らした。


 …むかつく。


 僕よりも長く死神をやっているくせして、落ちこぼれ。


 一刻も早くコンビ解消になることを願う1日目だった。

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