丑三つ時の


 机の上にぽつんと置かれた小箱。なんだか寂しげに見える。


 時刻は夜中の2時過ぎ。


 隣では黒崎くんが仮眠を取っている。榊さんは明日は早いからと、23時頃に就寝。


 室内は時計の秒針の音と、ふたりの寝息だけ。


 特にすることもなく、時間だけが過ぎていく。


「ん…」


「まだ2時半だよ。もう少し寝て大丈夫だよ?」


「…お前が寝ろよ。まだ寝てないだろ」


 彼はまだ眠いのか、目がとろんとしている。


「わたしは大丈夫」


「対象者が起きたら眠くても寝れないんだぞ」


「それでも大丈夫。黒崎くんに迷惑かけないから…」


「今この状態が迷惑」


「え」


 急に肩を抱き寄せられたかと思うと、そのまま仰向けに倒された。突然のことに、頭の中はプチパニック。


「く、黒崎くん…!?」


「これなら少しは寝やすいだろ」


「や、あの…」


「うるさいな。黙って寝なよ」


 そう言って黒崎くんは、手でわたしの視界を覆った。


 寝る以外の選択肢がなくなったものの、この状態では眠れない。なぜなら、人生初の膝枕をされているから。


 ドキドキしていると、優しく頭を撫でられた。言い方は意地悪だけど、実は優しい人らしい。


 撫でられているうちに、わたしの意識は徐々に薄れていった。


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