メール


 教室前の廊下。


「協会からメール来てたんだけど、見た?」


「ううん」


 黒崎くんは浮かない顔をしている。


「まぁ仕事のメールだったんだけど、柊泣くと思う」


「えっ?」


「…自殺、だから」


「……。でも、どうして急に…」


 わたしたちのように、学校に通っている者には、当日の仕事は入らないようになっているため、わたしは困惑する。


「さあ。それは僕にもわからない。時間だけど、学校終わったら走って協会に行かないと間に合わないんだよ」


「えっ、わたし今日掃除当番…」


「抜けるしかない」


「そ、そうだよね…」


 わたしの掃除グループのリーダーは、少しヤンキーっぽくて怖い男の子。話しかけるには相当の勇気がいる。


「とりあえずホームルーム終わったら迎えに来る」


「うん」


 黒崎くんは自分の教室に戻っていった。


 気が重い。


「なにしてんの。もう鐘鳴るけど」


「!!!!」


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