静かな怒り
榊さんは先程から、わたしたちに向かって怒鳴り散らしている。
彼のお母さんは彼を
「…ふぁ…」
あくびが出そうになり、わたしは慌てて口を塞いだ。
驚いたのか、榊さんは静かになった。
貫通しそうなほど突き刺さる視線に、恐る恐るそちらを見ると、かなり怒っている黒崎くん。
当たり前だ。
「ご、ごめんなさ」
「この仕事舐めてんの?」
今までに聞いたことのないくらい低い声で遮られる。もともと男性が苦手なことも手伝い、とても恐ろしく感じた。
「この仕事は、死者の魂が無事冥界へ行けるようにきっちり送らなければならない重要な仕事だ。一瞬たりとも気を抜けない。そのはずがなぜあくびなんかしてる?仕事に集中してない証拠だ。お前がいつまで経っても昇格できない理由はそこなんじゃないのか?中途半端な気持ちでやるくらいなら、いない方がマシだ」
上から目線。決めつけた口調。
黒崎くんはランクも歳も上だし、彼の言っていることに間違いはない。
「なんだその目?言いたいことあんなら、黙ってないで言えよ」
「………い」
「は?」
「っ、わたしは好きで死神になったんじゃない!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます