期待は崩れて


 家に帰ると、あるはずの靴も、するはずの匂いも、なにもない。電気もついていない。


 リビングに入ると、テーブルに一枚の書き置きがあった。わたしはそれを読まず、自分の部屋に行く。


 叔母は副協会長という立場上、休めないほど忙しいことはわかっている。


 両親が亡くなって引き取られてから、ほとんどひとりだった。「明日は帰るね」が、「ごめんね」に変わることは日常茶飯事。


 今回もそうなるのではと、なんとなく思っていたけど、実際にそうなると、ショックは大きい。


 制服のまま、ベッドに横たわる。途端、眠気がやってくる。


 やること、あるのに…。


 眠気にあらがえず、わたしは意識を手放した。


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