無神経


 目を覚ますと、目の前は一面真っ白。ボソボソと話し声が聞こえてくる。近付いてくる足音も。わたしはゆっくりと起き上がる。


「きっと寝不足です」


「そうね。目の下、クマが酷かったようだし…」


 静かにカーテンが開く。


「あら」


「起きてたの?」


「ついさっき目が覚めて」


 保健室の先生と黒崎くん。それから田沼くんもいる。


「柊さん、卒練の最中に倒れちゃったのよ」


「え!」


「きっと寝不足だ」


「あぁ…」


 昨日は朝から見送りが詰まっていて、最後は夜中の3時。報告書を書いていたら家に帰る時間がもったいなくて、協会で数時間の睡眠を取って登校した。倒れたのは寝不足だけではなく、もともと体調も良くなかったせいもあるだろう。


「それから生理中で貧血も起こしたんだろうね」


「!!!!」


「ちょ、黒崎さん!?」


「なに」


「そういうことはほら、オブラートに包みましょうね!? 女の子にダイレクトに言っちゃだめよ!?」


「そうですよ! さすがに俺でも包みますよ!!」


「そういうもんなの?」


「えーと、うん…」


「…気をつける」


 黒崎くんは少しムスッとして言った。可愛いと言いそうになり、慌てて言葉を飲み込む。


「あ、そろそろ鐘鳴る」


 田沼くんの声で時計を見る。鐘が鳴る2分前を示していた。


「教室戻ろーぜ」


「うん」


「寝てなくて大丈夫なの」


「平気だよ!」


「そっか」


 わたしたち3人は、教室に向かった。


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