ネットから小説家デビュー! 賞金総額600万円以上、KADOKAWA主催の大型小説コンテスト
7,188 作品
冒険者である俺は、祭りの夜に酔っぱらって、稼いだばかりの大金で奴隷を買う。買ったはいいが、ガリガリで傷だらけの少女だった。 返品不可となって、その少女を仕方なく自分で飼うことに……。
やさぐれたおっさんと不幸な少女の物語
ギャルゲーの主人公はツラいよ―金と権力でヒロインを救ってもいいですか?
かつて青春時代をギャルゲーに費やしたおっさん。
彼がある朝目覚めると、昔好きだったギャルゲー、『曇りなき青空の下で』――通称『くもソラ』の主人公『成瀬祐樹(なるせゆうき)』になっていた。
くもソラは、典型的な紙芝居タイプの泣きゲー。おっさんは昔、くもソラをやり込んでいたため、全ヒロインの攻略方法を完璧に熟知している。
おっさんは、満を持して、ヒロインの攻略に乗り出す――訳がない!
「なぜって? ハッピーエンドに至るまでの過程が超絶キツいからだよ!」
そう。なんと、くもソラは、田舎を舞台にした鬱要素てんこ盛りの、和風伝奇ホラー風ギャルゲーだったのである!
これは、泣きゲーの世界に転生したおっさんが、ヒロイン攻略を拒絶し、金と権力を使って鬱展開を強引にねじ伏せていく物語。
毎年、多種多様な内容が投稿されるこの部門。今回もコミカルな学園物から、VRMMO物、ハードな伝奇バトルなど、さまざまな「現代ファンタジー」が鎬を削る選考となりました。同時に舞台が「現代」であれば成立する懐の広さゆえに、なかなか「これが一番!」というものが難しい部門でもあります。
そんな難しい選考の中で『泣きゲーの世界に転生した俺は、ヒロインを攻略したくないのにモテまくるから困る――鬱展開を金と権力でねじ伏せろ――』は、かつて2000年代頃に一世を風靡した「現代異能バトル」物と、2010年代以降のファンタジーのトレンドの一つといえる「異世界転生」物を自然に接続した内容となっており、「懐かしいけど新しい」という読み心地が実現されていました。
転生した主人公が前世知識を活かしてみるみるうちに事態を解決していく「異世界転生」らしいストーリーを、あえて「現代異能バトル」の世界観で進めていくという、王道と王道を掛け合わせた発想。そしてそれに負けない魅力的なキャラや設定の数々は、大賞を飾るにふさわしい内容です。
現代ファンタジーは根強い人気のあるジャンルであることもあり、これからの2020年代を担う「新しさ」を担った作品を、今後の選考でもお待ちしております!
ファンタジア文庫編集部
戦時中に結婚した子爵令嬢バイレッタは、顔も見たことのない夫がいる。
ガイハンダー帝国陸軍騎兵連隊長アナルド=スワンガン中佐だ。伯爵家嫡男で冷酷無比の美貌の麗人と噂は事欠かないが、見たこともないので噂は噂と割り切って帝都の伯爵家で好き放題、奔放な生活を謳歌していた。
だがある日、終戦の知らせと共に夫の帰還の報が届く。
束縛も夫の隷属生活も、なんなら貴族階級なんてまっぴらごめんと、離婚を固く決意し一筆したためる。
『拝啓 見知らぬ旦那様、8年間放置されていた名ばかりの妻ですもの、この機会にぜひ離婚に応じていただきます』
顔も合わせないまま出奔しようとし、うっかり捕まってしまったバイレッタは初めて夫と対面することになり―――賭けで子作りを強要ってどういうこと?!
一月の間に子供ができなければ離婚できるという条件のもと、狡猾な夫との妖しい賭け生活が始まるのだった。
「主に女性読者を対象とした、恋愛・ラブコメ要素のある小説」を求める恋愛部門。
今回もファンタジーから現代ドラマまで、幅広いジャンルの個性豊かな作品が集まりました。
その中で見事《大賞》を獲得した『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』は、8年間顔も合わせたことのない夫婦が主人公。終戦を機に共に暮らすことになった夫と離婚したい妻と、そんな妻を離したくなくて“とある賭け”を申し出る夫――様々な事件を通しながら描かれる、正反対な二人の恋の攻防戦はトキメキ要素満載で、読み進める手が止まらない作品でした。特に、クールで他人に興味がなかったはずの夫が、真っ直ぐで行動力抜群な妻により変わっていき、様々な表情を見せていく過程はとても魅力的で、心奪われること必至!
個性豊かなキャラクターとテンポの良いストーリーで紡がれる、甘くて刺激的な恋物語が高く評価され、見事《大賞》受賞となりました。
「恋愛部門」と一括りに言っても、キャラクターと物語の組み合わせによりその恋の形は無限大です。
次回以降も、読者にハラハラとドキドキを届けてくれる素敵な作品をお待ちしております。
メディアワークス文庫編集部
大人の強さを持ったままあの頃へ戻りたい――そう思ったことはないか?
俺(30)は灰色の青春を過ごし、社畜生活の末に身体がボロボロになって死んだ。
だが目が覚めると俺は高校時代に時間遡行しており、全てをやり直す機会が与えられた。
この胸に宿る狂おしい人生の後悔、そしてブラック漬けで培った社畜力。
これらを原動力に青春にリベンジして、あの頃憧れ続けた少女に君が好きだと告げる……!
今ライトノベル界で最も熱いジャンル「ラブコメ」部門。本年は昨年にも増して、様々なバリエーションに富んだ、魅力的なヒロインとの恋愛模様が繰り広げられていました。
ヒロインが「美少女」であることは鉄板ですが、それに付け加えられた属性は年を追うごとに多様性を増しています。ヒロイン像は女子高生だけではなく、大学生だったり社会人であったり……ラブコメというジャンルが盛り上がってきているからこそ生まれる多様なシチュエーションは非常に読み応えがありました。
今回大賞を受賞した『陰キャな人生を後悔しながら死んだブラック企業勤務の俺(30)が高校時代からやり直し!社畜力で青春リベンジして天使すぎるあの娘に今度こそ好きだと告げる!』はタイトルの通り社畜として働く主人公がタイムリープで高校生に戻り、当時あこがれだったヒロインと距離を縮めるラブコメです。ブラック企業で培った社畜力を活かしてクラスのもめごとや文化祭のトラブルを鮮やかに解決するストーリーは非常に爽快でした。タイムリープしてきたからこそ考えられる解決方法は鮮やかで説得力があり、選考委員をはじめ多くの社会人読者の共感を得ました。一方で天然なヒロインとのラブコメはもどかしくもピュアで、一途な二人の恋模様にドキドキとさせられます。「タイムリープの爽快感」と「ヒロインとの甘いラブコメ」を両立させた本作は、大賞を受賞するにふさわしい名作といえましょう。
ラブコメジャンルは特にここ数年で一気に加速し、多くのヒット作が生まれています。爆発的に作品数も増えている中で、より読者に訴求できる作品を生み出すためには、魅力的なヒロインとのラブコメ模様を巧みに描き出すだけではなく、多くの読者の共感を得られる主人公像が求められているのかもしれません。
来年もこのコンテストで新しいラブコメの魅力が発見されるのを楽しみにしています。
角川スニーカー文庫編集部
大場莉恵子は映像会社で働くプロデューサーだが、仕事ばかりして生活も恋もおろそかにしていた。
親友の雨宮芽依は、幸せな結婚をしたつもりだったが、旦那に追い出される。
莉恵子は、芽依と同居することでずっと固まっていた恋を動かし始める。
そして芽依も新たな道を歩み始める。
これはどうしようもなかった私たちが、どうしようもなく幸せになる話。
第6回の「キャラクター文芸部門」には、現代日本を舞台にしたお仕事小説から硬質な文体の歴史改変SFまで、ジャンルも文体もまったく異なる応募作が集まり、「キャラクター文芸」という名の門戸の広さを改めて感じさせるものでした。その中でも特に最終候補作に残った作品には、題材にとことん向き合ったからこそ生まれたきらりと光る一文に出会うことが多く、それぞれの独自色を楽しみながら選考させていただきました。
今回大賞として推した作品『無駄に幸せになろうとすると死にたくなるので、こたつでアイス食べます』は、ピンチに陥った主人公が機転を利かせてそれを回避する冒頭のフックの強さ、そしてそこから始まる笑いありほっこりありドキドキありの各エピソードがしっかりとキャラクター像を浮かび上がらせ、自然とキャラの運命や次にとる行動が気になり、物語にひきこまれました。
組織でバリバリ働く女性と離婚したばかりの主婦の対照的な2人をW主人公にし、彼女たちの友情を絶妙な距離感を保って描いている点にも著者の作品作りへの冷静な姿勢がみてとれました。主な舞台となる映像制作業界の裏側はリアリティを感じさせるもので興味深く、投稿動画から見出された若手アーティストをサブキャラとして配置するなどの同時代的な目配りもあり、この機会に商業出版で多くの人に楽しんでもらえる作品になると考えています。
次回以降も、読み手を楽しませる企みに満ちた作品に出会えることを、編集部一同期待しております。
メディアワークス文庫編集部
該当なし
今回より新設されたどんでん返し部門では、ホラー、ミステリー、SFなどのジャンルで、作品世界が読者の前でひらりと反転するような、展開上の「驚き」が仕掛けとして組み込まれたエンタテインメント作品を募集しました。文芸系の編集部も選考に参加することから、例年のカクヨムコンでは見られない系統の作品も多く集まりました。
残念ながら大賞は該当なしとなりましたが、『幼馴染だった妻と一緒に高校時代にタイムリープしたんだがどうして過去に戻ってきたのか理由が分からない。そして高校生の妻がエロい。』と『仮面は二枚被れ』の2作品をこの部門の特別賞として選出いたします。
Web小説における「どんでん返し」の魅せ方はこれからまだまだ工夫の余地がありそうです。裏を返せば、誰もがその先駆者になれるチャンスがあります。今後もこの部門から新しい時代を切り開くような、刺激と企みに満ちた作品が生まれてくることを楽しみにしています。
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 選考委員一同
「朝の読書運動(通称・朝読)」で読まれることを想定した小説を募集する「朝読小説賞」にご応募頂いた作者の皆様、誠にありがとうございました。
「朝読」という一つのキーワードをもとに柔軟な発想が求められる挑戦難易度が高い賞だったかと思います。
それにもかかわらず、昨年度を上回る応募総数334作品と多数の作品にご応募頂いたことをお礼申し上げます。
多数の応募作品のなか最終選考に進んだのが27作品。応募頂いた皆さんが朝読向けの小説作品として試行錯誤して頂いた内容を感じ取らせて頂きました。
編集部にて熟慮の結果、「朝読小説賞」受賞となった小説は2作品となりました。
高校生バンドの物語として朝読にぴったりな爽やかさがありながら、“謎の歌”を巡るミステリー要素が一味違った青春ストーリーとなっていた『ザッシュゴッタ』。
カードゲームという設定説明が難しいテーマでありながら決して冗長にならず、主人公の成長・青春を描く物語として丁寧に描かれていた『レコード・トーカー』。
こちらを受賞作として選出させて頂きました。
今回の受賞作は、今年度中の刊行を目指して鋭意進行させて頂いております。
編集部としては、引き続き朝読向けのエンタテインメント小説の作品制作に取り組んで参りますので、皆様のご支援を賜れば幸いです。
カドカワ読書タイム編集部
2021年冬 応募開始 予定
次回コンテストの開催情報は、夏頃を目処に本サイト上で順次お知らせします。
詳細はお知らせブログやカクヨム公式Twitterをご確認ください。
「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
日々トレンドが移り変わりながらも、未だWEB小説の一大ジャンルに君臨し続ける異世界ファンタジー。「転生・転移」「主人公最強」「ハーレム」などに加え、今年は「追放」をテーマにした作品も多くありましたが、どれもユニークなアイデアを盛り込んだ意欲的な作品で、読んでいて著者の熱量を大いに感じる選考となりました。
今回、大賞となった『酔っぱらい盗賊、奴隷の少女を買う』は、キャラクター造形や世界観設定の創り込みが非常に高く感じられ、「確かにそこにある」異世界を描き切った完成度の高い作品でした。
主人公のハリスは、酸いも甘いも嚙み分けた大人として等身大で描かれており、そんな彼の生活を好転させていく純粋な心を持つ少女、ティアナとの対比がしっかりと表現されています。
二人の間で紡がれるあたたかな関係性や、距離感の描写がすばらしいことはもちろん、セリフ回しや戦闘描写に至るまで、その骨太な読み応えを高く評価し、大賞を授賞することとなりました。
今後も、魅力的な異世界へと誘ってくれる作品を、編集部一同楽しみにお待ちしています。
MFブックス編集部