概要
ストレスやPTSDを起因に悪夢を見る人間が感染源と化し、
周囲の人間に同じ悪夢を強制的に見せる奇病【亜種夢強制共感病《あしゅむきょうかんきょうせいびょう》】は、昨今話題のストレス社会において、『国民病』と呼ばれるほどに患者の数が多かった。
主人公の湧泉 凛《わきずみ りん》は、この病気を治療する医師として、日夜患者の悪夢に潜り込み、悪夢内に存在するストレス分子、通称【メア】と呼ばれる悪夢そのものを体現化した思念体と戦っていた。
しかし、湧泉 凛はこの病気を治療する医師になる為の条件を満たしていなかった――――
彼は何故医師になれたのか、また彼が克服しなければならない罪とは何なのか。
悪夢内での痛覚が【夢幻肢痛《むげん
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!感染する悪夢
PTSDを元に発症する病。その症状は周囲の人間に悪夢を強制するものだった。
現代病とも呼べるその怪奇的な病を治療する為、患者の夢の中へ潜り悪夢の元と戦う医者たち。
シリアスながらもコミカルな日常シーンで和ませてくれる作品です。
その中でもやはり、悪夢の歪さ、現実と乖離した異世界とも呼べる夢の描写が凄まじく、まるで本物の悪夢を見ている感覚に見舞われる。
などと難しい話をしてみたが、実の所、中身はヒーロー物です。
個性的なキャラクターが生み出すコメディシーンとシリアスなバトルシーンが魅力です。
物語の始まりから悪夢。話の大筋も悪夢。
そのテーマを元にストーリーは進行します。
そしていつの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧巻の心理治療バトル【医療系ヒーロー✕メンタルメディカルサスペンス】
――人間の内面心理・深層心理への侵入を物語の重要舞台とする――
いわゆる〝精神侵入物〟と言うべきジャンルがある。
商業作品で言えば――
山本英夫の『ホムンクルス』
富沢順の『TRICK STAR』
夢枕獏の『サイコダイバーシリーズ』
筒井康隆の『パプリカ』
テレビドラマの『バーチャルガール』
――などがある
この〝精神侵入物〟というジャンルは、いずれも名作傑作揃いであり、それらを書いている人々もスゴ腕揃いなのが分かる。逆に言えば、このジャンルは書き手に極めて高い技量を要求する。なぜなら――
〝設定を組み上げ、世界観を完成させるのが恐ろしく難しいからである〟
登場人物たちが存在する〝…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あっこれ、(良い意味で)ヤバいやつや……
まずお断りしておくと、私に医学の知識は全く無い。これっぽっちも無い。
故に、この作品に関しては読むのに少し身構えてしまっていたのだが――。杞憂だった。それも、とても良い意味で。
濃密でいて、わかりやすい設定。細やかなのに、くどさを感じさせずスルスルと頭に入ってくる描写。魅力と個性に溢れる、愛すべき登場人物達。それら全てを、非常に高いレベルで纏めている。
「テンプレにはもう飽きた」「面白い現代バトルファンタジーが読みたい」そんな思いを抱く諸兄に、自信を持ってオススメできる作品である。
……あくまで私の個人的見解ではあるが、ぶっちゃけ書籍化とかするんじゃねぇかなコレ。書籍化したら買う。絶…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これぞ現代ファンタジー!
PTSDを題材にした医療もの…と思いきや、PTSDを基にした奇病を治療する現代バトルファンタジーです。
その奇病とは、悪夢を他人に強制的に感染させるもののこと。患者の奇病を発症させないように努め、発症した場合は悪夢の中に入り、ストレス分子である「メアの子」を排除するのが主人公達専門治療医の役割です。
夢の中で戦う設定も凝っており、自身のPTSDの原因となったものを想起させる武器で戦うが、使いすぎるとフラッシュバックしてストレスが溜まる、という制限の付け方も絶妙です。
夢の中でのバトルのダメージが現実世界に跳ね返ってくる「夢幻肢痛」や、「フラッシュバック」、「(ストレス)浄化活動」など、…続きを読む