概要
薬を届けに行った教会で、意図せず〈神妃《しんき》〉に出会ってしまう。
目覚めたとき。
「最後の被験者」と呼ばれたフィルメラルナの額には、蔦《つた》の聖痕が現れていた。
神殿騎士卿エルヴィン・サンテスに連れられてしまった神殿で、聖女としての役割をしぶしぶこなしていくフィルメラルナ。
歴史棟を司るヘンデル、従騎士アルスラン、侍女のジェシカ。
そして、ユリウス王子とミランダ王女。
様々な人間と事件に関わる中で、深まっていく疑問があった。
――神妃イルマルガリータは、なぜ失踪してしまったのか?
聖女を巡る運命に翻弄されながらも。
フィルメラルナは絡み合った謎をひとつずつ紐解いていく。
ミステリック・恋愛ファンタジー
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- ★★★ Excellent!!!彼女の紫眼に映るのは、蒼い月か、はたまた暗黒の神話か
神話と歴史がまだ一つだったころの物語です。
薬屋の娘フィルメラルナ・ブランは、「神妃」に出会ってしまうのです。
神に選ばれその力を授けられているという「神妃」と出会い、気を失ってしまう。そして、つぎに意識を取り戻したとき、フィルメラルナの額には「神妃」の証である文様が刻まれていました。
突然に神の力を授けられてしまったフィルメラルナ。彼女は運命に押し流されるように神妃となることを強制されます。
一晩にして彼女は巨大な力を与えられたのですが、失ったものも大きかった。まるで幽閉されるような生活。無理やり決められる婚約。そして、少しずつ明かされる先代神妃イルマルガリータの狂気。そして…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それは呪いか運命か。神妃の謎に導かれた少女がたどり着いた真実は――
父親と薬草屋を営んでいるフィルメラルナは、薬を届けに行った教会で、神に選ばれた聖女『神妃』と出会ってしまう。そして、意識を失ったフィルメラルナが目覚めたとき、その額には神妃の証である蔦の聖痕があらわれていた。
突如『世界』を背負う聖女となってしまったフィルメラルナ。神妃をめぐるいくつもの思惑や陰謀に翻弄されながらも、不可解な失踪をとげた前神妃イルマルガリータに導かれるように、彼女は絡みあった謎をひとつひとつ紐解いてゆく。
ファンタジー好き、ミステリー好きはもちろん、1話1話が短いので、まとまった時間をとれない方にもおすすめ。壮大な世界観で綴られる、謎に満ちた神秘の物語です。 - ★★★ Excellent!!!運命に翻弄されつつ謎解きに挑む少女。真相はどこに
ある日を境に、神が選んだという聖女「神妃」になってしまったフィルメラルナ。
薬草屋を営む父と暮らす平凡な娘だったはずのに、いきなり聖なる存在に担ぎ上げられて。しかも前の神妃は不可解な失踪を遂げている。
神妃の務めをこなしつつ、フィルメラルナは絡まった蔦をほぐすように謎を解き明かそうとするのですが……。
アイデンティティの危機に戸惑いつつもそれを受け入れようとするヒロインの心がとてもリアルに伝わりました。蒼白い月の光を背景に彼女が運命に立ち向かう姿は神秘的。
失われた記憶、隠されたメッセージ。ミステリ好きならわくわくする仕掛けが読者の心を掴んで離さない、謎解き要素たっぷりの恋愛ファンタ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界を保つために、神妃は犠牲になるのか
唯一神のいる世界。
神の遣わす神妃。
世界を流れる神脈。
神脈が乱れるとき、世界は災害、戦争、混乱に陥る。
常に乱れを正さなくてはならない。
神脈を正せるのは、蔦のしるしをもつ神妃ひとりだけ。
神妃に歴史上知られていないエラーが発生します。
蔦のしるしは神妃が死ぬと、どこかに生まれてきた誰かの赤ん坊に
受け継がれるはず。
なのに、主人公フィルメラルナは17にして、現神妃のイルマルガリータから
蔦のしるしを継承し神妃になってしまう。
押し付けられた? なぜそんなことに。
前神妃イルマルガリータが仕組んだものだと思われるけれど。
上に示した設定だけでもすさまじい。
世界を丸っと創造しています…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界を救う役割を引き継がされた少女は自分自身に隠された謎に挑む。
神妃という世界のバランスを守る巫女のような役割が存在する中世ファンタジー世界の物語です。
主人公フィルメラルナはごく普通の薬草屋の娘でしたが、あるとき薬を届けに行った先で神妃イルマルガリータと出会い、そのままなぜか意識を失ってしまいます。
目が覚めたときには神妃の証である蔦の紋様が額に現れ、神殿騎士エルヴィンに神妃として神殿に連れていかれたのでした。
その後、周囲の事情を聴いてわかったことは神妃イルマルガリータはすでに行方不明になっていて死んでいる可能性があるということ、本来は新たな神妃は新生児が選ばれるはずであるのに、十七歳の少女である主人公に神妃として選ばれてしまったという事実でした…続きを読む - ★★★ Excellent!!!イルマルガリータの秘め事とフィルメラルナの運命と
「コノハナさんの作品ってどんな作品ですか?」と問われて一番に思うのが、やはり気品でしょうか? 文体に品がにじみ出ているのですよね。凛としたような文章で読みやすく、読む者の心に飛び込んで深い印象を残す。品のある文章というのは目指してもなかなか書くことが出来ないのではないかなと思います。それが第一の特徴かなと。
ヒロイン、フィルメラルナもまたその物語を象徴するような美しい女性なのですね。ここでいう美しいとは見た目の美しさではありません(勿論見た目も美しいですけれど)
高貴な百合の花が咲いたような佇まいとまっすぐな心。自身に降りかかる悲劇を乗り越えてなお美しく咲く姿に感銘した人も多いはずです。
作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ある日突然聖女になった少女を中心に陰謀と謎と少しの恋愛が巻き起こる
ただの町娘だったフィルメラルナは薬を届けようと教会に訪れたところから運命が大きく変わります。
騎士がやってきて半ば強引に神殿に閉じ込められてしまうフィルメラルナ。
父親と離れ離れになり、何とか元の生活に戻る事を願う彼女。
しかし、それを許さない思惑や勢力や陰謀が渦巻いている。
果たして彼女は元の生活に戻れるのでしょうか。
大作で読み応えありました。
登場人物も全員が個性豊か。
残忍なイルマルガリータ。
フィルメラルナを守るエルヴィン。
エルヴィンに嫉妬丸出しのアルスラン。
フィルメラルナに怯えている侍女のジェシカ。
マイペースでどこか達観しているヘンデル。
そして重要なユリウス王子とミラン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神妃という存在に、全てが振り回されていく
神王国ロードス。そこには神妃と呼ばれる存在がいました。
神妃とは、神の分身としてこの世に遣わされた少女であり、世界に安定をもたらす存在。それが亡くなると、世に生まれてくる赤子の中から次の神妃が誕生し、それを国と教会が保護する。それが、遥か昔から続けられてきた。
というのが、本作開始時の世界観。しかし始まって早々、これが崩れてしまうのです。
物語の主人公フィルメラルナは、十七歳の町娘。前述の神妃とは、何の関わりもない人生を送ってきました。しかしある時、彼女の額に神妃の証である紋章が現れたことにより、その人生は一変。捕らえられ、告げられたのは、先代の神妃が失踪したこと。そして、自らが新たな神妃…続きを読む