世界を救う役割を引き継がされた少女は自分自身に隠された謎に挑む。

神妃という世界のバランスを守る巫女のような役割が存在する中世ファンタジー世界の物語です。

主人公フィルメラルナはごく普通の薬草屋の娘でしたが、あるとき薬を届けに行った先で神妃イルマルガリータと出会い、そのままなぜか意識を失ってしまいます。
目が覚めたときには神妃の証である蔦の紋様が額に現れ、神殿騎士エルヴィンに神妃として神殿に連れていかれたのでした。

その後、周囲の事情を聴いてわかったことは神妃イルマルガリータはすでに行方不明になっていて死んでいる可能性があるということ、本来は新たな神妃は新生児が選ばれるはずであるのに、十七歳の少女である主人公に神妃として選ばれてしまったという事実でした。

さらに姿を消したイルマルガリータが残したメッセージが彼女を導いていき、なぜ自分が神妃になったのか、謎が少しずつ明かされていきます。

謎解き要素、恋愛要素もあるファンタジー物語が筆者さんならではの荘厳な文体で描かれています。
また健気なヒロインが過酷な運命に巻き込まれながらも、それと向かい合おうとする姿が繊細に表現されています。

一風変わった恋愛ファンタジーが楽しみたい方にはお勧めです。

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