概要
「救国の聖女」と呼ばれた、治癒魔法使いのへカティア。その力は、彼女自身が不死身であるほど強大だった。
しかしいっこうに戦争をやめない自国に愛想がつきて反抗した結果、地下牢に閉じ込められてしまう。そこに現れた闇の妖精ランパスによって脱獄し、逃亡の旅へ出た。
そんな中、ランパスは「時を取り戻す魔法」があるダンジョンへ行くといい、用心棒のボルテを伴って出発することに。
なぜか無償で助けてくれるボルテは、「人の役に立ちたい」という理由で二人の旅に付き合ってくれるという。
『時のダンジョン』に挑む彼女の目の前に広がるのは、死んだはずの両親がいる世界だった。
――いつか来るとおもって、けれど来なかった『時間』を取り戻す魔法。
だがへカテ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!世界に絶望した聖女がダンジョンの中で見つけた真実とは
治癒する力を持った少女へカティアは、その力を利用して兵士たちを戦わせ続けるために自分を聖女として担ぎ上げる国家に反感を覚えます。
そして反逆したために囚われの身となってしまうのですが、そんな彼女を妖精ランパスが冒険へと導くのです。
やがてヘカティアたちは用心棒ボルテをつれて、失った時間を取り戻すことができるという不思議なダンジョンへ向かうのですが……。
世界の理不尽に苦しむ主人公がダンジョンの中で過去と出会い、隠された真実と対面することになります。
どこか幻想的で神話や叙事詩のような雰囲気の世界観の中で、悩み苦しみながら運命と向き合う主人公の心理描写が光っています。
シリアスなファンタジ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それぞれの願いの答え合わせをする旅は、海と空と地上へ繋がる。
かつて『救国の聖女』と呼ばれたへカティアが謎の妖精ランパス、そして口数が少ない用心棒ボルテと共に「時を取り戻す魔法がある」と言われるダンジョンを目指す。
ランパスはやり直したい過去があり、ボルテはとあることがきっかけで人の役に、とりわけある人の立ちたいという願いがある。地下牢から脱獄したへカティアにも、取り戻したい時間があった。だがそれはへカティアが望んでも手に入れられなかった存在しない時間。彼女は類稀な治癒魔法で多くの兵士を救い自国に貢献したが、そのせいで失ったもの、そして得られたはずなのに得られなかったものがあまりにも多すぎた。
こんな自分では望んでも手に入らないと諦めたはずの過去か…続きを読む - ★★★ Excellent!!!奇跡を起こす癒しの聖女、失ったものを取り戻せ!
「救国の聖女」と呼ばれた、治癒魔法の使い手ヘカティア。
本作を語る上で知っておかないといけないのは、ヘカティアの回復魔法の凄まじさ。通常の異世界ファンタジーもので出てくる回復魔法を、大きく上回っているのですよ。
例えば腕を失っても元に戻したり、ヘカティア自身にも魔法の効果があって、どんなに攻撃されても死ななかったりと、彼女の治癒魔法の力は奇跡そのもの。
しかし、いかに優れた魔法でも、心の傷までは治せないようで。
国は何度も戦争を繰り返し、ヘカティアがケガを治した人は次々戦地に送られていく。聖女ともてはやされていても、その実戦争の道具のように扱われるヘカティアの苦悩が、とても痛々しかったです…続きを読む - ★★★ Excellent!!!望みを失った救国の聖女はどこへ向かう?
類稀なる治癒魔法を使うへカティア。
それにより戦場で多くの人の命を救い、救国の聖女と呼ばれた彼女ですが、誰もが崇めるような英雄として優雅な暮らしを、なんてことにはなりませんでした。
それどころか、少し前まで彼女がいたのは地下牢。
とても聖女とは思えないほど悲惨な扱いを受けていた彼女ですが、そこに現れた妖精ランパスの助けのおかげで、なんとか脱出となりました。
しかし、いったいなぜそんなことになってしまったのか。
実は戦場で多くの人々を救ったへカティアですが、それでも戦いは続きます。兵士は再び戦場に行き命を落とす。そんな彼らを差別し、死地になるとわかっていて送り込むものがいる。
へカティアは…続きを読む