イルマルガリータの秘め事とフィルメラルナの運命と

「コノハナさんの作品ってどんな作品ですか?」と問われて一番に思うのが、やはり気品でしょうか? 文体に品がにじみ出ているのですよね。凛としたような文章で読みやすく、読む者の心に飛び込んで深い印象を残す。品のある文章というのは目指してもなかなか書くことが出来ないのではないかなと思います。それが第一の特徴かなと。
ヒロイン、フィルメラルナもまたその物語を象徴するような美しい女性なのですね。ここでいう美しいとは見た目の美しさではありません(勿論見た目も美しいですけれど)
高貴な百合の花が咲いたような佇まいとまっすぐな心。自身に降りかかる悲劇を乗り越えてなお美しく咲く姿に感銘した人も多いはずです。
作品の持つ雰囲気がとにかく潔く、心地いい。それはやっぱりコノハナさんの持つセンスと筆力ではないかなと思います。

物語はフィルメラルナが世界で唯一無二の存在である神妃として神殿に迎えられるところから始まります。神妃とは一体どのような存在か。時折チラつく、前神妃イルマルガリータの影。彼女は一体どんな人であったのか。物語は進むにつれて深く広く展開していきます。
大きな謎がいくつか仕掛けられていまして、そこはまさにミステリックファンタジー。読みながら推理してああでもないこうでもないと思考を巡らしとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。
力強く美しい文章と物語の抱える謎。
貴方も歴史の目撃者になりましょう!

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