彼女の紫眼に映るのは、蒼い月か、はたまた暗黒の神話か


 神話と歴史がまだ一つだったころの物語です。
 薬屋の娘フィルメラルナ・ブランは、「神妃」に出会ってしまうのです。
 神に選ばれその力を授けられているという「神妃」と出会い、気を失ってしまう。そして、つぎに意識を取り戻したとき、フィルメラルナの額には「神妃」の証である文様が刻まれていました。

 突然に神の力を授けられてしまったフィルメラルナ。彼女は運命に押し流されるように神妃となることを強制されます。
 一晩にして彼女は巨大な力を与えられたのですが、失ったものも大きかった。まるで幽閉されるような生活。無理やり決められる婚約。そして、少しずつ明かされる先代神妃イルマルガリータの狂気。そして、神の力を利用しようとする人間たちの暗黒の歴史。

 神話とまじわる暗黒の歴史の世界で、運命に翻弄され、それでも真実を見つけようとあがいた一人の少女の物語。彼女が見極めた真実と、彼女が最後に下した選択。どうぞ、あなたも目を凝らして確かめてください。

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