概要
あなたの隣に、鍋奉行はいますか? 私の部屋には、います。
社会に出て数年もすれば、それなりに働き方というものも分かってくる。
代わりに、私はそれなりに色々なものを犠牲にしたと思う。三十路に片足突っ込んだような年齢になっても彼氏の一人いないし、余暇を楽しむほど何かに熱中している訳でもない。
ほどほどのお金を得て、ほどほどの暮らしを送っていることに、ちょっとした寂しさはあるけれど、大きく不満はない。そんな生活。
四月になって、今年も代り映えの無い年度が始まるかと思っていたが、そうではなかった。
何年も前に分かれたはずの元彼が、旅行鞄いっぱいの大金を持って私の目の前に現れたのだ。
彼は言った。
「俺に毎日、お前の飯を作らせてくれ」と。
鍋師、という職業がある。
鍋と共に歩み、鍋の深遠に到達するために生涯を捧げる者。それが鍋師であり、そのための作法
代わりに、私はそれなりに色々なものを犠牲にしたと思う。三十路に片足突っ込んだような年齢になっても彼氏の一人いないし、余暇を楽しむほど何かに熱中している訳でもない。
ほどほどのお金を得て、ほどほどの暮らしを送っていることに、ちょっとした寂しさはあるけれど、大きく不満はない。そんな生活。
四月になって、今年も代り映えの無い年度が始まるかと思っていたが、そうではなかった。
何年も前に分かれたはずの元彼が、旅行鞄いっぱいの大金を持って私の目の前に現れたのだ。
彼は言った。
「俺に毎日、お前の飯を作らせてくれ」と。
鍋師、という職業がある。
鍋と共に歩み、鍋の深遠に到達するために生涯を捧げる者。それが鍋師であり、そのための作法
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!何故うちの旦那は鍋師じゃないのか……鍋師の旦那が欲しくなりました
世の中は理不尽で出来てます。
だけどそんな理不尽の中の小さな奇跡を大切にしたくなる作品です。
……と、そんな綺麗事はおいておいて。
とりあえず面白い。言葉選びの一つ一つがニッチで何度くすっと笑わされたことか。
少し擦れたヒロインの元に、元カレが突然土下座してきた所から始まります。その元カレは鍋師の修行中とのことで、その試験のためにヒロインと同棲を願い出るのですが……そもそも鍋師ってなんやねん。そんなツッコミをしながらも、とりあえず毎日無償で美味しいご飯にありつける生活はとにかく羨ましい。
個性的なキャラクターたちが絡みに絡み合い、ラストのハッピーエンド。本当にお見事。
こんな面白い小…続きを読む