概要
音もなく浮き上がる傘、当然のように拾い上げ去って行く駅員……その姿に和也は衝撃を受ける。
「超能力だ!」「鉄道会社には何か秘密があるに違いない!」
と興奮するが、周囲の人間は誰一人として信じてはくれない。おまけに山と田畑に囲まれた田舎の車社会……電車に乗る機会が少なかったことも相まって、和也自身もその出来事を忘れてしまう。
だが、高校の卒業を間近に控えた就職活動の最中、偶然か必然か、和也はその奇怪な出来事を思い出す。
高校卒業後、鉄道員として『大阪駅』で働くことになった和也は、新米駅員として日々の過酷な業務をこなしていく中、少しずつ周囲環境の奇妙さに気付き始める。
上司の意味深な発言、見えない何かの存在…
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!鉄道が好きな人、ファンタジーが好きな人にオススメ!!
鉄道員の不思議な力を目撃した主人公が、鉄道員になって超能力の秘密を知り…という鉄道と現代ファンタジーを組み合わせた作品です。
自分自身鉄道業務経験があり、最初に読んだ時自分の新人時代を思い出すような感覚で、もしや鉄道員の方が書いてらっしゃるのではと思うくらい業務の描写がリアルでした。鉄道の仕事というと難しそうなイメージを持たれるかもしれませんが、説明が丁寧でわかりやすく鉄道の知識がない方でも、すんなり入っていけると感じました。
また、業務シーン以外の異世界空間や武器、超能力を使った戦闘シーンもきめ細かく表現されていて、まるで映画を観ているかのような気分になります。
これから先の展開がどうなっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「駅」という、人生の分岐点を預かり守る。そんな影のヒーローたちの物語!
あらすじについては作品そのものや、他の方のレビューでしっかり語られているので、そちらを参考にしてください。
簡単にまとめるなら駅――人々の人生の分岐点――を影で支える、鉄道員というヒーローたちの物語です。
まず何といっても、その読み易さが挙げられます。三人称で語られる物語は誤字脱字もほとんど無く、表現も硬すぎず、柔らかすぎないちょうどいい塩梅。当たり前のことがきちんとこなされているため、物語にスッと入りこむことが出来ます。
さて、そうして見えてくるのは、作品最大の魅力となる「駅」に生きる鉄道員たちの日常です。実在する「大阪駅」を舞台にしている事もあって、日ごろ何気なく利用してい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!子供の頃に見た不思議な光景から始まる、駅を舞台とした物語
【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ファンタジー
主人公は高校三年の就活の最中、小学生の時に目撃した駅での不思議な現象のことを思い出す。大阪駅に就職し、研修中の折に再び不思議な現象そ遭遇する。これが駅の秘密なのだろうか? 上司に質問をするもまだ早いと言われてしまった主人公は、ある日業務の最中に気を失ってしまい……?!
【物語の始まりは】
母が心配する中、小学1年生の主人公は電車に乗り、ここから二十分程度の祖父母の家に向かおうとしていた。
母とのやり取りが長くなってしまった為か、主人公がホームに向かうと電車が出た後であり、次に来るのは15分後。そしてこの15分の間に主人公の人生を変えてしまうよ…続きを読む - ★★ Very Good!!駅という場所、言葉の響きにあるもの悲しさが、ファンタジーと融合!
不思議な駅員を見かけた主人公が、長じた後、自身も駅員となって、その不思議な駅という場所に関わっていく現代ファンタジーです。
この「駅」という単語に、私は憧憬があります。駅には無目的の人はいない。仕事をしている駅員は勿論、旅立つ人、帰ってくる人、迎えに来た人、駅ビルでデートしている人もいるでしょうし、「ただ何となく来ただけ」という人がいない空間のように思えつつ、同じような空間である空港に比べ、トーンが落ちているように思うからこそ、そういう憧憬があるのかも知れません。
物語も前半は主人公の駅員としての仕事や人間関係を丁寧に描く事で、後に起こるファンタジックな非日常とのギャップを生んでく…続きを読む