概要
【完結済】ここの住民は海を恐れている。海に囲まれた離島だというのに。
大学生の颯斗(はやと)はある夢に悩まされていた。子供の頃、離島住まいの祖父を訪ねた時の記憶だ。飛び込んだ深く青い海で「何か」を見た──何かは分からないけれど、吸い込まれるような海が繰り返し夢に現れるのだ。
折り良く、颯斗は祖父の法事で思い出の比彌(ひみ)島を訪れる機会を得る。鹿児島沖の離島で颯斗を待っていたのは気さく過ぎる島民たち、奇妙な風習、遠縁の少女との出会い。そして、海で彼を待つのは「何」なのか──
孤島の伝承にまつわる真相を紐解く土着ホラー、異種間恋愛要素もあります。
折り良く、颯斗は祖父の法事で思い出の比彌(ひみ)島を訪れる機会を得る。鹿児島沖の離島で颯斗を待っていたのは気さく過ぎる島民たち、奇妙な風習、遠縁の少女との出会い。そして、海で彼を待つのは「何」なのか──
孤島の伝承にまつわる真相を紐解く土着ホラー、異種間恋愛要素もあります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ホラーは読まないあなたにこそ、この知的な恐怖をオススメしたい
ホラーと名の付くものは極力避けて通る私ですが、タイトルと「民俗学」のタグに惹かれて「一話だけ……」と仰け反り気味にページを開き、あっという間に魅了されて全部読んでしまいました。
物語が事件へなだれ込む時の急降下させられるような場面転換にも感嘆しましたが、この作品の真の魅力は細部にあると思います。
屋久島から比彌島へ、船へ乗せてもらってきつい方言をどうにかリスニングして、食事をごちそうになって──そのひとつひとつに香りまで感じるような丁寧な描写は脳裏の映像を色鮮やかにしても良さそうなのに、どこか嵐の起きる直前の晴れ間のような、端の方がちょっぴり翳っているような、静かな不気味さを抱かせます。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!伝承と怪異が絡み合う。美しい海を舞台に描かれる幻想的な伝奇ホラー
物語は主人公・颯斗の不可思議な夢から始まる。
やがて祖父の法要のため、祖父が生まれ育った九州沖合の離島・比彌島に赴いた彼を待ち受けていたのは、当地において語り継がれてきた古の伝説と奇怪な事件だった……。
架空の離島を舞台に展開される長編伝奇ホラー。
フィクションとはいえ、島で用いられる方言や伝承にはリアリティがあり、細部のディティールへのこだわりが物語の完成度を高めている。民俗学に興味のある向きにとってはたまらないポイントだろう。
ストーリー面に目を向ければ、島に伝わる過去の因習をめぐる謎解きや、主人公と島民との駆け引きといったミステリ的な要素も充分に楽しむことが出来る。
ホラーではあるも…続きを読む