謎に満ちた海に魅了される。孤島で繰り広げられるホラー×ミステリ

  • ★★★ Excellent!!!

 描写の妙で主人公とシンクロするように世界に浸ってしまう事はあるけれど、この作品はまさにそういうシーンが多く、磯の香や潮風、うだるような夏の南の島の暑さを感じる事が。
 その没入感の中で、子供の頃の海で溺れる記憶からはじまり、何度もあの海に呼ばれるような感覚、そして導かれるように島へ……。

 海に囲まれた島なのに「海に近づいてはいけない」事を何度も言われるし、何かを隠しているような宿泊先となった前園家の人たち。
 離島だからこその独特の風習として、ちらほら見える不穏の気配。ひとつひとつの小さなヒントをかき集め、島の真実に近づいていくところは推理小説を読んでいるかのようでした。

 とにかく主人公颯斗と感覚を共有しているかのような感覚で読めてしまうため、じわりじわりと明らかになる島の歴史が積み上げてきた因習が迫って来る緊張感は、まさにホラーのそれ。

 誰しもが、読めばこの島での出来事を追体験できる事を保証します。
 数話読むだけで一気読みしたくなるので、時間を確保してどうぞ。

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