概要
旅先で出会った猫は、私のご先祖様を知っていました。
高知県吾川郡仁淀川町。
四万十川に続く清流として有名な仁淀川が流れるこの地には、およそ400年の歴史を持つ“寄相神社”と呼ばれる社がある。
山間にひっそりと佇むこの社は仁淀川町を静かに見守る社だった。
その寄相神社には一匹の猫が長い間棲み付いている。
誰の目にも止まらないその猫の名は――狸奴《りと》。
夜になると、狸奴は人の姿に変わり、寄相神社の境内に立ち神楽鈴を手に舞を踊る。
ある人との約束を守る為に、人々の安寧を願い神楽を舞う。
ある日、その寄相神社に一人の女子大生が訪れた。
彼女はこの地域には何の縁もゆかりもない女子大生――藤岡加奈子。
神社仏閣巡りが趣味で、夏休みを利用して四国八十八か所巡りを済ませて来たばかりの加奈子は一人、地元の人間しか知らないような
四万十川に続く清流として有名な仁淀川が流れるこの地には、およそ400年の歴史を持つ“寄相神社”と呼ばれる社がある。
山間にひっそりと佇むこの社は仁淀川町を静かに見守る社だった。
その寄相神社には一匹の猫が長い間棲み付いている。
誰の目にも止まらないその猫の名は――狸奴《りと》。
夜になると、狸奴は人の姿に変わり、寄相神社の境内に立ち神楽鈴を手に舞を踊る。
ある人との約束を守る為に、人々の安寧を願い神楽を舞う。
ある日、その寄相神社に一人の女子大生が訪れた。
彼女はこの地域には何の縁もゆかりもない女子大生――藤岡加奈子。
神社仏閣巡りが趣味で、夏休みを利用して四国八十八か所巡りを済ませて来たばかりの加奈子は一人、地元の人間しか知らないような
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼女はこの旅の終わりに、何を得るのだろうか
【物語は】
ある者が、声が聞こえ思案に耽るところから始まる。それは幻聴なのか、それとも現実なのか。その相手を待つある者に、イヤな予感が過る。これは、始まりの章。全ての始まりであり、経緯がここに記されている。
本編が始まると、少し雰囲気が変わり、主人公の視点となる。まずここで凄いと思うのは、時代らしさを産むという拘り。ページが変わっただけで、時代が変わったのだなと感じ、自然に切り替わる。しかも、読みやすい。主人公がここにいる目的や、どれほど何に興味が惹かれているのか。一般的な感覚と自分の感覚との違い。それにより、拘りなども表現されていく。彼女は宿にて土地の情報を得るのだが、その中で一番興味を惹…続きを読む