★★★ Excellent!!!
彼女はこの旅の終わりに、何を得るのだろうか crazy´s7@レビュー&作品紹介師
【物語は】
ある者が、声が聞こえ思案に耽るところから始まる。それは幻聴なのか、それとも現実なのか。その相手を待つある者に、イヤな予感が過る。これは、始まりの章。全ての始まりであり、経緯がここに記されている。
本編が始まると、少し雰囲気が変わり、主人公の視点となる。まずここで凄いと思うのは、時代らしさを産むという拘り。ページが変わっただけで、時代が変わったのだなと感じ、自然に切り替わる。しかも、読みやすい。主人公がここにいる目的や、どれほど何に興味が惹かれているのか。一般的な感覚と自分の感覚との違い。それにより、拘りなども表現されていく。彼女は宿にて土地の情報を得るのだが、その中で一番興味を惹かれたものが意外なものであった。
【登場人物の魅力】
冒頭に出てくる人物については、後程さらに語られるのではなかと感じた。この物語はモノローグで語られていくが、とても分かりやすく滑らかな文体と作風が特徴だと言える。今回のお遍路についてどれほど楽しみにしていたのか、心情によって伝わってくる。他にも、彼女のアクティブさからは、スピード感を得られる。それは、何を考え何を思い、どういう行動に出るのか。何に興味関心を持つのか、その理由はなんなのかなどが丁寧に描かれており、読者を納得させつつ、展開されていく。その為、彼女がどんな人物でなのか、明確な言葉として書かれていなくても、分かりやすいのである。
彼女は、好きなものに対しての姿勢も大切にしている。だからこそ、在り方について、自分なりの考えを述べることが出来るし、好きなものを大切に出来る。そして、明確な意思を持って行動できるのではないかと思う。
【物語の魅力】
この物語に出てくる登場人物たちは、それぞれ特徴があり、自分の意志で生きていることがわかる。現代でなら認められたかもしれない多様性。しかし、昔はマイノリティの存在自体が認められていなかっ…
続きを読む