概要
この世界では、誰もが前世の記憶を持って生まれてくる。
それならば、前世での功績が現世でも評価され、前世での悪行が現世でも非難されるのは必然と言えよう。
そんな世界の理――『前世主義』に苦しむ三人の男がいた。
彼らの足元には、前世の記憶という鎖が纏わりついている。
そんな彼らに、差し伸べられる手があった。
「我々は来徒教団(ライトきょうだん)。貴方を導くものです」
人類を前世の呪縛から解き放つと語る者たち――来徒教団。
その手が導く先は、光か闇か。
彼らの行く末は、前世か来世か。
三者三様の前世と、三者三様の現世。
それらがすべて、ライムライトで交差する。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!二周目がしたくなるほど、鮮やかな伏線回収。
前世の記憶が当たり前にある世界。
だから、前世の記憶によって優劣が決まるのは当たり前のことだった。
――――それが当たり前で良いのか?
前世にとらわれる三人の男の前に、「来徒教団」を名乗る怪しい男が近づいてくるところから、物語は始まり、交差する。
絶妙に振りまかれた謎は、さらに謎を呼ぶ。
ひとつのことに囚われて、この作品を理解した気になってはいけない。
その先にそれを超える衝撃が待っているのだ。
だんだんと進んでいく時間、紐解かれていく謎。
最終話直前は、驚きの連続で、最後まで気が抜けない。
「あっ」とついつい声を出してしまう。
その謎は突拍子のないものなんかじゃなくて、序盤から…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どうか、読むなら最後まで
正直な話をしよう。
本作は、ネット小説向きではない。
ネット小説は基本、無料、しかも素人が書いた小説だ。当然のことながら、読者としても小難しくて妙に意識だけ高い「自称純文学」なんかより、わかりやすく、読んでいて気持ちのいいモノがいいに決まっている。
事実、信じられないほどのPVや☆を集めるネット小説の多くは、一話一話に美味しいところがある。「ドンパチ」やら「ざまぁ」やら「お色気」やら、ともかくわかりやすい、時に過激なエンタメを放り込んで、読者をひきつける術に長けている。そうしないと、読者が離れていってしまうことをよく理解しているのだと思う。(それを否定する気はないし、そのニーズにこたえら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたの前世の価値は……
前世の記憶があるのが当たり前の世界で、あなたならなにをする?
前世でやれなかったことを、現世で果たす?
前世は前世だから、囚われず現世を過ごす?
前世の記憶を活かして、同じ様な道に進む?
きっと人の数だけ人生があるのと同じように、前世と現世と来世の取り扱いや価値観なども人の数だけ違ったものがあるのでしょう。
この物語を紡ぐ三人は、当然ながらそれぞれ違った前世を持っていますが、前世の鎖に縛られ、普通に生きることもままならない人たちばかり。
そういう人たちは前徒(ゼント)と呼ばれ、来徒教団(ライトきょうだん)の導きがあるのだとか。
前徒の彼らが希望を見出すのは、現世か、来世か……。
この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!合理的な理不尽
昔、大学の授業で『前世というのは、理不尽な仕打ちに耐えるための仏教流の合理主義だ』という主旨の台詞を講師から聞いたことがある。
しかし、哀しいかな人間は現世に意識を持つ限り理不尽から逃れられない。いや、理不尽から逃れようとすればするほど余計に絡め取られる。釈迦の説話に、『木の檻に入れられた牛が暴れてそれを壊したら、鉄の檻に入れられた』というものがあり、それを地でいく世界ともいえる。
話は少し変わり、ライムライトと聞いてチャップリンの映画を思いだした。素のライムライトについてもそれで知った。チャップリンの映画は落ちぶれた中年の芸人が主人公だが、挫折や苦悩に振り回される姿が描かれている。そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は必ずどこかで交差する。それが前世であろうとも。
前世の記憶が継承される世界の物語。
「今の人生がついてないのは前世で徳を積まなかったからだ」
みたいな言い回しを聞くことがある。
今作ではそれが冗談ではなく、前世の行いや人格が現世にも影響し、学業や就職や恋愛、人生の全てに関わってくる。
そんな世界で、前世の記憶に囚われた三人の主人公。
それぞれがそれぞれの悩みを抱えたまま、現世を生きるために謎の教団と関わることになりーー?
人生のままならない部分を何かにぶつけることが出来たなら、人は自分の人生に納得出来るのではないか。
そしてすがるものを見つけることが出来れば、人は生きる気力が湧くのではないか。
人生に悩める人に贈る、良質な群…続きを読む