二周目がしたくなるほど、鮮やかな伏線回収。

前世の記憶が当たり前にある世界。
だから、前世の記憶によって優劣が決まるのは当たり前のことだった。

――――それが当たり前で良いのか?

前世にとらわれる三人の男の前に、「来徒教団」を名乗る怪しい男が近づいてくるところから、物語は始まり、交差する。


絶妙に振りまかれた謎は、さらに謎を呼ぶ。
ひとつのことに囚われて、この作品を理解した気になってはいけない。
その先にそれを超える衝撃が待っているのだ。

だんだんと進んでいく時間、紐解かれていく謎。
最終話直前は、驚きの連続で、最後まで気が抜けない。
「あっ」とついつい声を出してしまう。

その謎は突拍子のないものなんかじゃなくて、序盤から導く要素がばらまかれている。
読者に悟られない範囲で、しっかり種をまいていく。
その手腕は見事だとしか言えない。

この作品のすごいところはたくさんあるのに、ネタバレになるので言えないのが悔しい。
今すぐ読んでくれ、としか言えない。


でも。それでもあえて何か言うのであれば。

「人の生ってのは一本の道だ」
「けどさ、自身の一本道ってのは、他の人の一本道と必ずどこかで交わっているはずなんだよ」


作中にたびたび出てくるこの台詞たちが、この作品のすべてを表していると思う。


ライムライトの交差点で交わる人と人の一本道。
それを見てみませんか?

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