「桜の宮」奇譚 碧落の果て

作者 花田春菜

愛を知り、愛を深め、愛に生きる。そこにあるのは、桃源郷か、地獄か。

  • ★★★ Excellent!!!

子をなさぬまま、夫を亡くした桃。世継ぎのために、養子をとることになるが、それは自分より年上の陵駕という青年だった……。


序盤から、世界観の構築の仕方と、登場人物の関係性に驚かされ、そのまま世界に引きずり込まれてしまいます。
貴族社会の美しさと儚さ、そして残酷さ。全ての良さがぎゅっと濃縮されています。

最初は桃の持ち前の明るさや陵駕の少し意地悪な性格、桃の妹・桜のけなげさなど、主要人物の良さが存分に描かれ、なんとなく和みます。
息苦しい貴族社会の中でも、生きていける。楽しいことはある。彼女たちが今までどうやって生きてきたのか、それがわかります。

でも、それは作者の罠でした。
読者を苦しめるための罠だったのです。

いいですか、序盤で騙されてはだめですよ。
中盤以降、どんどん苦しい展開になっていきます。
まだいじめたりないのか、と言いたくなるくらいに、登場人物たちは追い詰められていきます。
鬼畜、鬼畜だよ……!、と何回叫びたくなったかわかりません。キャラに対する愛が歪んでいます(笑)

ただ、苦しみの中で、決断していく、そして生きていこうとする彼女たちは、とても人間味があって、美しかったです。
揺るがない信念がある。どうしてもそれをつかみ取りたい。その熱量にますます胸が痛み、頑張れ、と応援したくなります。


そんな彼女たちの、ひとつの結末を見届けてみませんか。
きっとラストは胸が痛くなり、そして熱くなります。

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★★★ Excellent!!!

削られた。いろいろ削られた。おもに精神とかそういうやつが。

平安を彷彿とさせる世界観ですが、古語満載だったり時代がかった言い回しだったりということはありませんので、どうぞ皆様もお気軽にこの桜の宮へ… 続きを読む

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