「桜の宮」奇譚 碧落の果て

作者 花田春菜

自由に人を愛せない。貴族の世界に渦巻く、それぞれの想い。

  • ★★★ Excellent!!!

舞台は平安、登場人物は貴族。
高校あたりで古典をやっていれば、おそらくこれだけで中々ドロドロした話を想像されるでしょう。

本作も貴族特有の政略や、それ故の叶わぬ恋というのがメインとなっております。
そしてそれが、現代の私達にも分かりやすく描かれているのです。

本作を読むのに古典の知識はほとんど必要ありません。
多少見慣れない言葉があっても、ルビと共に「あ、あれのことね」と簡単に思い浮かぶような描写をしてくれています。
しかも全体を通して美しい文章で描かれており、セルフレイティングは3つとも堂々の有りですが、「なにこれ美しい……」と思わされる程です。

ここまで文章のことを言いましたが、個人的なおすすめはドロドロした舞台設定故の、ゴリゴリ心を削ってくる精神攻撃でございます。
展開を予想して心の準備をしていても、それでもゴリゴリゴリゴリ精神が削られます。
でもご安心ください。これは嫌なやつではなくて、「もうやめてあげてぇ……!」と登場人物についつい感情移入してしまう方のやつです。

そして読んでいる途中にそう感じるからこその読後感。
もし辛い展開に目を背けたくなっても、是非最後まで読んでください。

登場人物達のこれからの人生が、きっと良いものでありますように。
自然とそう思わせてくれる作品です。

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

削られた。いろいろ削られた。おもに精神とかそういうやつが。

平安を彷彿とさせる世界観ですが、古語満載だったり時代がかった言い回しだったりということはありませんので、どうぞ皆様もお気軽にこの桜の宮へ… 続きを読む

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