あと３年の彼女は心の映像を盗み見る

読了後のレビューです。

時羽というキャラを始めとした、登場人物達の描写が絶妙で物語に流れる不思議な世界観も含めて、読み進めていくうちに物語の展開に引き込まれていきます。


心の映像を盗み見る彼女。
この秘密に触れること、それは生きることに向き合うことを意味するかもしれません。

多くの人から嫌われていると思い込み、人を寄せ付けないバリアを張る、超絶ネガティブ高校生、時羽金成。彼には、寿命を支払うことで、運や才能、不思議な力などのお金で買えないものを得られる不思議な喫茶店、幻想堂の息子という、もうひとつの顔がありました。

もちろん、幻想堂のことは周りには秘密。しかし突如懐かれた同級生の雪月風花は、なぜかそれを知っていました。実は彼女、かつて幻想堂で取引をし、残る寿命はわずか三年となっていたのです。
あまりに短い余命にも関わらず、明るく接し、時羽と友達になりたいと言う雪月。

寿命と引き換えに何かを得るという重いテーマと、ぼっちの主人公が同級生と触れ合うことで少しずつ…続きを読む

喫茶店幻想堂の息子、時羽金成（ときわかねなり）は寿命を操ることが出来るネガティブ男子。

そんな金成の店にクラスメイト雪月風花（せつげつふうか）が現れ、寿命と引き換えに触れた相手の心が映像で見える力を得た。

金成は、風花の寿命があと数年だということに気付いてしまう。

自己評価の低い金成が、限られた命を精一杯に生きようとする風花に影響され変わっていく……。

風花の寿命はどうなってしまうのか？

改めて、生きている時間について考えさせられるとても深い作品です！

喫茶店幻想堂の息子、時羽金成は、友達がほしいと願っている自己評価の低い、ネガティブ男子高校生。バリアをはって、周りと距離を作ってしまっています。
そんな彼の家、幻想堂には、ある秘密が。実はそこは、寿命と引き換えに不思議な力を与えてくれる奇妙なお店だったのです。

ぼっちな高校生活を送ると時羽くんの前に現れたのは、かつて幻想堂で寿命を渡したことのある女子生徒、雪月風花。
なつかれて、仲良くなって、友達と呼べる関係になるも、寿命を渡している彼女の命は、後3年。
期限付きの友達と送る、少し不思議なファンタジー青春ストーリーです。

自己評価の低い時羽くんが実は女子に人気があったり、一見明るい雪月さ…続きを読む

幻想堂。寿命と引き換えに能力をもらえる不思議なお店。
お店自体も不思議ですが、この物語の一番素敵なところは、主人公たちの心の成長ではないでしょうか？　人生に対する自分の気持ちを考えながら、読みすすめることをお勧めします。

　不思議な店である。そこに勤める人間が不思議なせいでもあり、持ち込まれる案件が不思議なせいでもある。
　そんな環境を背景に孤独をかこつ主人公は、ある一面では誰のしがらみにも縛られない。
　『交換』とは、ある意味でそうした人間関係の深さと煩わしさにかかわっているねかではないかと思った。
　詳細本作。

寿命を取り引きする喫茶店の息子、時羽金成はめちゃめちゃ自分への評価が低くて、皆に好かれていないと思っています。
そんな彼は寿命と引き換えに他人の心の映像が見える少女、雪月風花と出会います。
基本的に感情を表に出さない時羽ですが、他人の心が見えてしまう雪月には時羽の感情が見えてしまうわけで……

二人の周りで起こる色々な出来事を通して、時羽と雪月はお互いを知っていくちょっと不思議でハートフルな物語です☆


時羽の自己肯定感の低さが見どころです！
物語を通して精神的に成長していく所を「頑張れー」と読んでいて応援したくなる主人公でした☆

ヒロインの名は雪月風花。
主人公の名は時羽金成。

とある理由で二人ともある種の能力持ちです。
とある理由でヒロインは後数年しか生きられません。
とある理由で時羽は自己評価が無茶苦茶低くてネガティブです。それはもう笑ってしまうほど。

他にも魅力的なキャラクターが登場します。
雪月が好きで、敵に回すと怖い男、岸海星。
すごい能力の持ち主だが、童顔で引きこもりの少女、透千桔梗。

個性豊かな登場人物、恋の鞘当て、特殊能力、友情、ミステリー。
魅力は盛り沢山なのですが、一番の見所は何と言っても時羽の成長ぶり。
人を避けるために時羽バリアというバリアを張れる能力を持っている彼ですが、そんな彼が少し…続きを読む

年月要らぬと近付く寿命。まだ生きたいと思えるよ。恋愛は能力の果てに。チートはくれない命の泉。それでも価値は…人次第。
テンポはミデアムで、まるで広い海を見ているようだ。独特の生きる力を感じるところが特筆される。
僕は主人公と少し似ているところがあって、ぼっちで無口無表情な少年でした。
この作品は、現代ファンタジーのジャンルにとらわれずに、広く通用するように描かれている。

この物語の登場人物たちは寿命よりも大切なものを見つけている。
人によって価値基準が異なるという事実を静かに伝えている。
おもしろいです。
私は素敵な時間を与えてくれた先生に感謝しています。