概要
莵道の末姫・かさねは、狐神に嫁ぐため、親しんだ家を出る。しかしその婚姻は、豊穣のための贄を意味していた。狐に喰われかけたかさねを救ったのは、金目をした青年イチ。イチは天都から追われた皇子を名乗り、都に戻るためにかさねを「盗む」というが――。
神とひとが混じる世。箱入り娘と流浪の男の織り成す、恋と冒険の少女浪漫ファンタジー。
2020.12.28 完結
**書籍化します**
2022/2/15 富士見L文庫から改稿のうえ刊行予定
刊行時タイトル:「神去り国秘抄 贄の花嫁と流浪の咎人」
装画:凪かすみさま
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「――がしあわせなら、俺はそれでよかった」
兎路の娘としてしきたりにならい狐神に嫁ぐ……己に定められたそれが婚姻とは名ばかりの生贄だと知ったかさねが、突如現れた正体のしれない青年イチの手を取り逃げ出すところから、物語ははじまります。
イチは、自分の目的のためにかさねを「盗み出した」立場で、世間知らずのお姫様であるかさねをぶっきらぼうにあしらいながらも、旅の途中の危険から捨て身と言っていいほどの献身で守りぬきます。目的のために我が身が傷つくことを厭わないイチの、そのあり様にかさねはかなしみを感じ、肯定できないながらも、彼に惹かれていきます。
――この男のしあわせを願っている人間がここにいることに。いつか気付いてくれたら、かさねはうれしい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読み手の皆さま『盗まれる』準備はできていますか?
読み手の皆さま『盗まれる』準備はできていますか?
読めばきっとあなたも心を盗まれること間違いなし!
私に和風ファンタジーの素晴らしさを教えてくれた作品です!
天地人それぞれの世界観の表現力・描写が素晴らしく想像が掻き立てられる文章なのはもちろん、なにより引き込まれるのは、イチとかさねの掛け合いの素晴らしさ…!活き活きとした2人がいつも楽しませてくれます。
イチとかさねに心を盗まれて今では更新待ちの日々…
まだ完結前なので多くは語らず、完結したらまたレビュー更新させていただければいいなと思っています。
【以下ちょっとネタバレ注意です】
これは個人的願望ですが、いつか、天帝花嫁編…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神の世界と人の世界、二つをつなぐ道をひらく少女の物語
とにかく世界観がツボです。
神の世界と人の世界があり、
その二つは不思議な「道」でつながっています。
それは神の道とも呼べる四本の道と、
主人公のかさねが「ひらく」ことができる莵道です。
「ひらく」と形容するものとして「扉」を連想しがちですが
それを「道」とするのがまず面白いと思いました。
扉だったら、くぐればもう神の世界、みたいになってしまいますが
この物語では道なのです!
すぐ目的地にたどり着かないのです!
道をたどっていく中で、いろいろな出会いや事件があり、
これは旅の物語とも呼べると思います。
また神の世界の仕組みも面白い。
いろいろな神様がいて、世界を形作っています。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!じゃじゃ馬な箱入り娘とひねくれ青年の凸凹コンビ!
丁寧に編み込まれた織物のような、うつくしく上質な和風ファンタジー。
しかしこの作品の魅力はそれだけではない、なんとも軽快な会話を繰り広げるヒロインとヒーローのふたりがなんとも楽しませてくれる。
狐神のもとへ嫁入りしたヒロイン・かさねは、そのまま狐に喰われそうになったところを青年・イチに『盗まれる』
そこからふたりの物語が動き出すわけだが、さてさて、果たして盗まれたのはかさねだったのか、それとも?
神と人、天都と地都、まるで古い御伽草子のような世界で駆け回るふたりの姿にきっとあなたは時間を忘れて読みふけるのではないだろうか。まさしく、我々はかさねとイチに時間を盗まれて。
ふたりの新たな旅路を、…続きを読む