概要
【不遇なヒロインと恐れられるヒーロー。政略結婚で結ばれたふたりは、やがて心を通わせて陰謀に立ち向かう】
【王道ヒストリカルロマンです】
私生児の生まれゆえに冷遇されて育ったエリーゼは、婚約者を亡くしたばかりの心痛の中、残虐な野心家と評判のヴォルフリート将軍と強引に結婚させられる。戦勝の褒美として不遜にも王女との結婚を望んだ将軍を牽制するための、生贄のような立場の花嫁だった。彼女の婚約者を戦場に散らせたのは、その将軍だというのに。
将軍にとっても彼女は押し付けられた妻ということになる。どんな仕打ちを受けるのかと震えるエリーゼに、けれどヴォルフリート将軍は穏やかに
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- ★★★ Excellent!!!生け贄の花嫁は、愛を知って強くなる
その生まれから、名のある貴族の血を引きつつも屋敷では人間のように扱われなかったエリーゼ。
何も考えるな。言われたことだけをやればいい。意思など必要ない。そう言われて育ってきたエリーゼが、言われるがまま残虐な噂の絶えない将軍のもとに嫁ぐことから始まる物語。
序盤から中盤にかけては、エリーゼが人形から人間へと戻るお話へ焦点が当てられます。
とにかく何事にも怯え、人の視線やあるいは厚意を素直に受け取ることのできないエリーゼ。地の文は彼女の視点から描かれる三人称なので、読んでる側からしたら「そうじゃないよ!」って伝えてあげたいのにそうできないのがもどかしい。なのでゆっくりと、それでも確実にエリーゼ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!政略結婚で出会った二人が、互いの想いで運命を変えていく——!
不遇な少女が、皆から恐れられている将軍に嫁がされ、けれど相手は実は素敵な男性で、彼に愛され幸せになっていく——そんなよくあるシンデレラストーリーかと思いきや、この物語の主人公は少し違いました。
その出生から虐げられて育ったエリーゼは婚約者の死のすぐ後に、まさかのその婚約者の死を招いたとされる狼将軍ヴォルフリートのもとへ嫁ぎます。ところが彼は自身の境遇に厭世的になっており、死を望んでいた——。
エリーゼは運命に流されているようで、その実、嫌なものは嫌としっかりと内心では認識しています。はじめは心の奥底で祈り、願うだけでしたが、やがて本当に大切な人を見出し、彼を愛し、包み込み、そしてそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恐怖に凍えた心に、貴方への愛が咲く。不遇な令嬢と死を願う英雄の恋愛譚。
封建制度の強い王国で政治的な思惑に振り回される令嬢と将軍の、政略結婚から始まる恋愛ストーリーです。
私生児ゆえに虐げられてきた良家の令嬢エリーゼは、婚約者の死を悼む猶予も与えられず、政略的な生贄として、残虐で野心的と名高い将軍ヴォルフリートと結婚させられることになります。
憂鬱な想いと募る恐怖を押し殺しながら将軍の家へと迎え入れられた彼女は、そこで彼の意外な一面を目にすることに――。
丁寧に心情を描きだしつつ進む物語は、読者にやるせなさともどかしさを想起させてくれます。
貴き家名を誇る人々のはけ口とされてきたエリーゼには、自分が優しく大切に扱われる価値があるとは考えられません。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!罪を知るからこそ、癒したいと願う。
暗い影を落とす二人に幸あれと願わずにはいられません。
生まれを疎まれ、使用人のように扱われてきた令嬢エリーゼは、自らの婚約者を戦地に送り、殺したと囁かれるヴォルフリート将軍のもとへ嫁ぐことになります。わかりやすい政略結婚であり、エリーゼもそれをわかっていて向かうのですが、将軍と話をすることで今まで聞いてきた「事実」と異なるものが見えてきます。
エリーゼもヴォルフリート将軍も、周囲から疎まれてきた存在です。将軍は血も涙もない残酷な人だと言われてきたけれど、それは必ずしもすべて真実とは言えないし、エリーゼのいた世界がいかに狭く、偏った教育を(むしろ洗脳を)施していたかがわかります。意思を…続きを読む