生け贄の花嫁は、愛を知って強くなる
- ★★★ Excellent!!!
その生まれから、名のある貴族の血を引きつつも屋敷では人間のように扱われなかったエリーゼ。
何も考えるな。言われたことだけをやればいい。意思など必要ない。そう言われて育ってきたエリーゼが、言われるがまま残虐な噂の絶えない将軍のもとに嫁ぐことから始まる物語。
序盤から中盤にかけては、エリーゼが人形から人間へと戻るお話へ焦点が当てられます。
とにかく何事にも怯え、人の視線やあるいは厚意を素直に受け取ることのできないエリーゼ。地の文は彼女の視点から描かれる三人称なので、読んでる側からしたら「そうじゃないよ!」って伝えてあげたいのにそうできないのがもどかしい。なのでゆっくりと、それでも確実にエリーゼの心が開かれ、人間らしく生まれ変わった瞬間は心の底からほっとしました。
中盤から後半にかけては王宮に渦巻く陰謀へ。
ここまで読むと、序盤の人間関係ががらりと変わって見えてくるので面白いです。
そしてエリーゼが凄く強い女性になっていて、長らく自分を虐げてきた相手にハッキリと自分の思いを告げるシーンには胸が震えました。
文章が美しく、けれど読みやすい。1話の長さがちょうどいいのもあるのかも知れませんが、気付けば結構な量を一気読みしてしまいました。
エリーゼの芯の強さがとてもかっこよかったです!