安是の里では、恋をした女は光る。
冒頭一行目で「すげぇもの読んでる!!」と鳥肌が立ち、十行進んだ時点で私は作者さまのプロフィールを確認しました。
『きっとプロだろう』と。
山里にある村。
おどろおどろしい伝説や因習が残る地で、かすのみと呼ばれ虐げられていた娘は、ある日別の村の青年と出会う。
二つのに村は因縁があり、惹かれ合うことなどないはずだった二人が結ばれたとき、物語が動き始めます。
細部までよく作り込まれ、一部の隙もない舞台設定に気付けばどっぷりと浸かっていました。
各キャラ……特に主人公が背負った業の深さが最後まで話を貫いていて、各エピソードの動機となり、また胸を打つラストへとつながります。
主人公・かすみの母とかすみの関係が一つの肝かと。
途中何度も息を呑む展開があり、母と子の関係、さらにかすみと燈吾の行く末が気になって、読む手を止められませんでした。
そして燈吾の妹・小色も鮮烈なキャラ。他のキャラもそれぞれ登場する意味がきちんとあり、二十七万字の果ての壮大な結末に一役買っていると思います。
とにかく圧巻の一言。
書店で買った本を読んでいるのかとたびたび勘違いするほどの完成度でした。
読み終えてもまだ私の周りに世界が広がっている気がして、自分が今どこにいるのか判然としなかったほどです。
いつかこのお話が書店に並びましたら真っ先に購入させていただこうと思います。
想い人に光を放つ山女達が住まう隠れ里の物語。
激しい女達の劣情は、繊細で、傷つきやすく、それでいて大胆で、したたか。
狂おしいほどの思慕を募らせる女の一途さと狂気を見事な筆致で描いた傑作です。
巧みな描写は読み手の視覚と触覚を否応なしに刺激し、揺さぶり、昂ぶらせる。
まるで体の芯を掻き毟るような、それでも核心に届かないようなもどかしさ。
活字から伝わる柔らかな指で神経をゆっくりと愛撫するような感覚に、読み手も身悶えすることでしょう。
燃えるように官能的でありながら、冷静で残酷。
生娘のように初心でいて、狂女のごとく穢れている。
人間が内包する相反する二つテーマを男女の営みをモチーフに鋭く切り取った作品に思わず溜息が漏れました。
凄いです。
主人公の思考回路は、女そのもの。妬み、嗜虐心、自分のことしか考えない。大事なのは、自分の愛する男だけ──。男への情念。それが徹底している。
女は恋した相手に光濡れる。情欲の光。男は、その光る肌の合せをかき広げられれば、断ることはできない。
なんという淫靡で蠱惑的な世界。
そして、ヒーローがもう、格好良くって、甘くて、焦らして、からかう事を言って、「尊い夫」「極上の男」を体現してるんですよ。
───一度、肌が重なれば止まる術がなく、流れ落ちる勢いだった。
閨が惜しげもなく語られ、主人公の光が奔流となり、ごうと燃え盛るんですよ。
大好きな共寝シーン沢山あります。
私は堂々と言っちゃうよ!お子様や低俗な欲で読書する輩には太刀打ちできない世界だもんね!
物語の隅々から、暗紫紅の炎がほの暗く燃え続けています。焼かれますよ?
大人である紳士淑女の皆さまには、自信を持っておすすめします。
他の方も書かれている通り、この物語とにかく凄い。
人間のありとあらゆる汚い部分はどす黒く、反面、恋する女が光る様はなんと美しいことか。
両極端の情景が渦巻いて、容赦なく迫ってきて圧倒されました。
ラストシーン、主人公かすみは夫の燈吾からある言葉を言い放たれ自分の欲望を自覚します。
強欲な彼女は強く、とても印象的で、大好きになりました。
彼女の野望がどうなるのか、見果てたいと思った瞬間でした。
そして燈吾については・・・
好きだけど嫌いだ、嫌いだけど好きだ!
この男に抱いた矛盾する感情の持って行きようが今のところ・・・ない。
ないのでこれ以上言えないし、今のところ言いたくもない。
読み終えて涙が出た。
まさかWEBでこういう小説が読めるとは思わなかった。
作者様にただただ有難うございましたと言うばかりです。
せつない、つらい、激しい。
この作品を読んで燃え尽きたのは主人公ではなく、読者である私でした。
主人公のかすみの感情の激しさに揺すぶられ、物の怪の夫である燈悟に翻弄され、愛され、夢見て、裏切れて――。
かすみは滓の実か、幽の身か。
文明が開花する頃、未だ古き因習に囚われた隠れ里でかすみは生まれ、虐げられてきました。
安是の里の女は恋をする光に濡れる。
光に濡れるというこの言葉の淫靡さは、読んでみないとわかりません。安是の里の誰にも光らなかったかすみが、物の怪の夫の前だけでは光り濡れる。このえもさ。唯一無二の比翼の連理を体現してくれるこの出会い。それが、最後の最後でまさかの。
燈悟のことに触れてしまうと、この物語の真髄に触れてしまうので控えますが、何より貴い。この夫婦、里の誰よりも貴い夫婦なんです。
かすみは己の身が蔑まれる身であると知っていても、この貴い夫に釣り会えるようにと、なんでもします。かすみからすればなんでもという言葉は嫌だろうけれど、なんでも。
かすみの身体は夫のために光り濡れるものだから、その身体に無体を強いる者を、彼女は許さない。その強さに惹かれてしまうのです。
尊い夫婦を取り巻く因習の謎が一つずつ紐解かれ、かすみが強かながらも狂っていく様をその一番そばで見ているのが、私たち読者です。
どうして、どうして、燈悟、救ってよ……!
違うんです、かすみが救いたいのは実は。
救われてほしい、報われてほしい、読み終わった時にのまさかの着地点に、涙が止まりませんでした。
ぜひ、皆さんもこの作品に狂わされてください。
安是の里では、女は恋をすると光る。
比喩でもなく、本当に体が光る。愛しいひとを思って頬を染めるように、誰にも譲らぬと熱く猛って。
主人公のかすみは、そんな里でたったひとり光らない女。
彼女の母の悪行によってかすみは里の中でも「かすのみ」と蔑まれ、里人たちから侮蔑の目で見られ、あるいは無視されて生きてきた。
そんなかすみを光らせたのは、黒狐の仮面を被った物の怪――燈吾。彼はかすみにとって唯一、自分を認め、愛してくれたひと。
かすみと燈吾の、許されざる愛の物語……かと思いきや、これはそんな軽々しい言葉で一括りにしてはいけない物語です。
恋情、憎悪、嫉妬、欲望、絶望……あらゆる感情が濃く美しく、時に醜くリアルに描かれていて、読んでいてもずっと息苦しくなるほど。まさに物語に出てくる「黒沼」に飲まれてしまうかのよう……。
人間の醜い部分がこれでもかとあらわにされ、それは主人公かすみでさえも例外ではない。
とても深く、濃い、物語でした。
何かもう……すごかった(語彙)。
古い因習に囚われた隠れ里に繰り広げられる、おぞましくも美しい物語。
ときに鬱々とした怨嗟がうずまき、ときに血にまみれ臓腑がまき散らされ、それでもなおこの物語を『美しい物語』たらしめているのは何なのか……。
全編にわたって冴える『やらしい文章』ではないかと私は思う。
(やらしいなど表現すると作者に失礼ではないかと不安になるが、ご本人もプロフィールで「なるたけ、やらしい文章を目指していきます」とおっしゃっているので、問題がないということにしておこう)
小説とは文章による表現だとするならば、やはり筆力は高いに越したことはなく、さらに言えば美しく艶めかく『やらしい文章』であれば最高だ。
作者の『やらしい文章』でなければ、これほどの感動をもって迫ってこなかったのではないかと思う。質の良い文章は、酩酊にも似た心地よさをもたらしてくれるものだ。
レビューをお書きの方々の中に、書き手の方も多いように見受けられる。
もしかすると本作に触れ、嫉妬を覚えた方も少なくないのではないだろうか。
少なくとも私は、この壮大な物語を『やらしい文章』で書ききった作者の筆力に嫉妬する。嫉妬の炎は胸を焦がし、やがて寒田の男のように蛍火を放つようになるかもしれない。
冗談はさておき……
あなたの胸の内に少しでも興味が湧いたのなら、迷うことなく『かすみ燃ゆ』の世界に飛び込んでみてほしい。『やらしい文章』に翻弄される心地よさを是非、あなたにも体験していただきたい。
端から端まで凄絶な物語でした。
すごかった。あまりに激しい緩急と、渦を巻くような情念に、上手く言葉が出ないほど。
愛しい男を想うと、女の身は光り濡れる。
それ故に脈々と続く隠れ里の因習から生まれ堕ちた、人間の業の物語です。
私はこれを、女という生き物の中に連綿と引き継がれていく呪いを描いた話として読みました。
燈吾という美形で床上手で博識で時々無邪気で狡いほど危うい魅力のある男の存在を介してなお。
主人公かすみの中に息づいた、禍々しい女の呪いの話でありました。
上質で生々しい官能描写はもちろんのこと、里山の陰鬱な空気や、想像を絶する凄惨で猟奇的なシーンなど、全てにおいて五感が揺さぶられます。
先読みできない展開は、予想を遥かに超えて二転三転し、ずぶずぶと深い沼に嵌まり込むように読み耽ってしまいました。何なら呼吸も忘れていたと思います。
血脈のように身の内を流れる呪いは、如何にして断ち切れるのでしょう。
人外の力を得たかすみと燈吾が行き着く先。
最後の二人の選択に、狂おしいほどの尊さを感じました。
これを愛などと言ったら陳腐に思えるぐらい。人間が人間として生きる、その矜持と美しさがありました。
繰り返しますが、凄まじい作品です。
間違いなく、私の人生の中でも忘れられない物語になることでしょう。
この作品を読むのは二度目です。
一度目は衝撃的な展開と鬼気迫る描写に圧倒され、凄まじい作品を読んでしまったという感覚が残りました。
しかし、二度目の通読ではその光彩がさらにくっきりと浮かび上がり、やはり怪物のような作品だと改めて思い知らされます。
五感に訴えかける文章。
むせかえるような山の匂いの濃さ。血糊のついた手でべったりと頬を撫でられるような感触。口の中で噛みしめる泥の味。虐げられながら生きてきた主人公のかすみが身をもって味わう瞬間のひとつひとつが、読者にも五感を通して沁み入ってくるようです。
因習に支配された舞台で繰り広げられるおどろおどろしい地獄絵図。しかし壮絶な物語の根底にずっと流れ続けるのは、恋慕を超えた深い愛であり運命の絆であり、その一本の揺るぎない芯に絡まるようにして、無数の人間の「業」がうごめいています。
濃厚に甘美に、時に禍々しく光り濡れる女の情念。その炎に焼かれる度にしたたかに凄味を増してゆく主人公。
読了後も暗紫紅の光と青白い蛍火が脳裏に焼き付きます。まるで物語そのものに人外の力が宿っている。そういう作品だと思います。
背中が粟立つ程、残酷で目を背けたくなる世界を生々しく、美しい文章で紡ぐ物語は決して美しいだけの恋の物語ではない。
恋をして、愛するという感情を甘く美しいものとしてではなく、醜くさも孕んだどろりとした感情と共に描いている。
主人公は里から虐げられている女性だ。里への恨みを鬱積しながら生きるかすみはどこか泥臭さもある強い女性だ。だけど、目が離せない。愛する人の為ならどんなことをしてでもという情念を持って動く人間のむき出しの感情に圧倒されてしまう。
この物語はミステリーとホラーも併せ持つ。深まる謎が解け、目をそらしたくなるような、おぞましい描写にも読み進める手が止まらなくなる。
特に後半の山の描写には鳥肌が立ってしまった。
恋をした人間の美しいだけではない、生々しい想いの行く果てが気になる物語です。
ある村の女性は、想い人の前では体から光を発する。しかし主人公は適齢期を過ぎても光らない。そこで名前にちなんで「滓の身」とあだ名された。しかし主人公は、敵対し続ける村の男の前では、光ることが出来た。
主人公が村から疎外されるのは、村で光らないだけではなく、実母にも問題があった。実母は赤光に誰にでも濡れ光り、村中の男を弄んで村の女たちの逆鱗に触れた。そして主人公はその母親を——。
そんな中、主人公が敵対する村の男と密かに通じていることが村にばれ、密会場所から男の姿が消えた。そして主人公も捉えられる。何とか牢獄から逃げようとしたが、助けた男は主人公を罠に嵌めようとしていた。逃げる途中で気を失った主人公は村で、山姫の怒りを鎮めるオクダリサマと呼ばれて崇拝される身分となる。愛し合った男とも再会するが、オクダリサマの侍女もこの男に想いを寄せていた。侍女は村から出て、医師や最先端の学問で、信仰に囚われてきたものを直すのだと言った。果たして侍女は敵か、味方か。
「俺以外に濡れ光ったら殺してやる」
これが男と主人公が交わした約束だった。
しかし、主人公は紫黒く光濡れるようになった。
民俗学的な伝奇小説で、重厚感ある世界観と筆力が魅力的です。
是非、御一読下さい。
この小説を気軽に「性描写有り」なんて言いたくない。
確かに性描写はある。だがそれこそが真骨頂だ。
性とは生に通ずると気付かされる。
そしてこの作品内の性描写は、明らかに芸術の領域まで達している。
淫らなエロスが花開く。時に美しく、時に残酷に。
それが読む者の目をとらえて離さないのだ。
今作の舞台である架空の村「安是(あぜ)の里」に住む女は、恋をすると光る。
ファンタジックともいえる設定だが、物語は古来からの因習に縛られた田舎の村で展開する。
娘宿や祭りといった昔の日本に存在していた風習が盛り上げてくれる。
閉鎖的な田舎の村をのぞいてみたい衝動があるなら、必ず満足できるはず。
生きているのか死んでいるのか分からない主人公の母、誰か分からない父親、反目しあうほかの里など、気になる謎が散りばめられていて読む手が止まらない。
もう一点、都会には文明開化の足音が聞こえている時代だというのも面白い。
田舎は近世どころか中世もかくやという暮らしぶりなのに、世界は変化しているのだ。
美しくも残酷な官能を味わいたいなら、ぜひ読むべき。
舞台は東の果て、遥野郷。その深部の山里、安是に住むかすみは、一人の男と契りを結ぶ。
安是の女は恋する者を想うと、光る。蛍のように、炎のように。
里では虐げられ、「かすのみ」扱いされているかすみの良人となったのは、安是とは因縁浅からぬ寒田の里の偉丈夫。
いがみ合う両里の恩讐を超えて添い遂げようとするかすみの前には、様々なひとの、里の、そして山の情念が渦巻く。
さながら絡みつく髪毛のように心身を縛るものごとに、寄る辺もなく、しかし、敢然とひとり立ち向かうかすみの選択とその顛末は――。
もし自分がかすみの立場だったらどうするのだろう。この里のシステムであったのならどうしただろう。
ひとを突き動かすちから。役目が、立場が、山が、そして想いが与え授ける力は同時に等しく呪でもある。自分なら、どう対峙しただろう。
そんな事を考えながら先へ先へと読み進めると「そこまでやるか…」という思惑の数々がこれでもか……っていうかね!
レビューでこんな事言うのはどうかと思うんですけど、いろいろあって書ききれないからとにかく読んで!
後から一気に読もうとすると読めませんていうタイプの濃い奴だからちょっとずつ読んでけ下さい。
かすみの顛末を、共に見届けましょう。
まずは一頁読んでいただきたいです。きっと本作の虜になります。
舞台は、文中の描写から推察するに、おそらく明治時代辺りの和風世界だと思われます。
この里の娘は好いた男を思うと光り、思いが募ると、それはいっそう輝きます。
主人公は、里の男には光らず除け者扱いされる娘、かすみ。彼女はしかし、外道とされる隣里の男にだけは、光るのです。ですがそれは祝福されぬ恋でした。
光るがゆえ、誰の目にも情欲が明らかになるという官能的な設定と、時に不気味さすら感じさせる閉鎖的な里社会、日本ならではの色彩を感じる豊かな筆致が相乗効果を生み、他にはない魅力的な作品となっております。
また、物語の展開も素晴らしいの一言です。
一頁目から、舞台設定や人物像が自然と頭の中に入って来て、どうしてこれほどまでに読みやすいのか不思議に思いました。
拙いながら(本当に素人目線で!)考えてみたのですが、幻想的な物語でありながら、押し付けがましいところがなく、説明的箇所と、物語の中で自然と読者に理解させる箇所のバランスがとても優れているのではないかと思います。
なかなか真似できません!
物語が進むごとに徐々に見えてくる閉鎖的な里の闇。先の気になる展開に、気づけば読み進める手が止まらなくなります。
冒頭から最新話まで、引き込まれること間違いなしの作品です!
あまりの凄まじさに呆然とするばかりです。
書き手の皆様には恐らく通じるかと思われますが、ある程度文章を書き慣れてきますと、己の立ち位置と言いますか、界隈における己の力量は見えてくるものですよね。
相手の書く力量と自身の書く力量との間に隔たる、歴然とした実力差や、天賦の才というものが、残酷なまでに浮き上がって見えてくる。
今作は、とにもかくにも凄まじい。
あまりの力量差を見せつけられて、「あ、自分なんぞと比べて良いものじゃないわ」と打ちのめされる快感に溺れられます、というのがまず一点。
己の下手さ未熟さ加減は、一先ず棚に上げておきます。
舞台は架空の和風世界、山間の二つの村の間に横たわる過去と現在を結ぶのは、山女をモチーフとした怪異譚です。
主家筋の村では、女が恋情にその身を光らせ男を手繰り寄せる。
片や家来筋の村では男が蛍火で女を引き寄せる。
そしてこの両者は断絶されている。と、されてきた。
その両村を物理的に隔てた山で、一人の男と一人の女が出会い、逢瀬を重ね、物語と二人の運命は思いも寄らぬ未来へと転がってゆきます。
半ばまでですが拝読して最も思うのは、村という閉鎖的な環境において下位におかれた女が生き延びるためには、嫁ぐ事やその身を開くことが必要になるという状況がやはり生じうると言う事。その残酷さの中で、身も世もなく恋焦がれる男に巡り合えたというのは――僥倖なのかも知れません。
ただし、結ばれた糸が他者の意向によって無理矢理解かれたり、断ち切られたりしなければ、という但し書きつきになりますが。
安是の里の娘は、恋をし発情すると様々な色で身体が発光する。
しかしかすみは歳をとっても光らない。光らない女は女にあらず。
彼女の母は阿古という美しい女であったが、ある日都へと出奔し、かすみを妊娠して里へ戻った時には、狂女と化していた。
赤黒い髪を持ち、狂女を母に持つ光らない女は、里にて「かすのみ」と呼ばれ蔑まれていた。
そんなかすみは、実は暗紫紅色に発光することが出来た。しかしその事を秘密にしていたある日、山の中で敵対している寒田の里の男と恋に落ちる。
愛を育む二人であったが、運命はかすみへと残酷に降りかかり……
重厚な文体で、閉塞感溢れる里で迫害されるかすみの心情、そして光る娘などが丁寧に書かれ、とても読み応えがあります。
是非ご一読を。