一頁目を開いた瞬間、「ああ、これはすごい作品だ……!」と思いました。

まずは一頁読んでいただきたいです。きっと本作の虜になります。

舞台は、文中の描写から推察するに、おそらく明治時代辺りの和風世界だと思われます。
この里の娘は好いた男を思うと光り、思いが募ると、それはいっそう輝きます。
主人公は、里の男には光らず除け者扱いされる娘、かすみ。彼女はしかし、外道とされる隣里の男にだけは、光るのです。ですがそれは祝福されぬ恋でした。

光るがゆえ、誰の目にも情欲が明らかになるという官能的な設定と、時に不気味さすら感じさせる閉鎖的な里社会、日本ならではの色彩を感じる豊かな筆致が相乗効果を生み、他にはない魅力的な作品となっております。

また、物語の展開も素晴らしいの一言です。
一頁目から、舞台設定や人物像が自然と頭の中に入って来て、どうしてこれほどまでに読みやすいのか不思議に思いました。
拙いながら(本当に素人目線で!)考えてみたのですが、幻想的な物語でありながら、押し付けがましいところがなく、説明的箇所と、物語の中で自然と読者に理解させる箇所のバランスがとても優れているのではないかと思います。
なかなか真似できません!

物語が進むごとに徐々に見えてくる閉鎖的な里の闇。先の気になる展開に、気づけば読み進める手が止まらなくなります。

冒頭から最新話まで、引き込まれること間違いなしの作品です!

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