■あらすじ
物語の主人公は姜蚩尤。諸侯の子息という立場。
そんな彼の友人であり従者でもあるのが龍人族の郭雷堂。
本作は、冷静沈着な蚩尤とおおらかな雷堂の、主従にして友人、相棒でもある二人を中心に展開される、陰謀あり! 謎あり! 熱いドラマあり! 手に汗握る神経戦あり! そして、時にほろりとする場面あり!――の、中華幻想譚です。
■おすすめポイント
(1)登場人物同士の関係性が熱い!
登場人物同士の関係性で言うと、まず挙げるべきはなんといっても蚩尤と雷堂のバディ。
絶妙な距離の保ち方だとか、信頼関係とか、兎に角良いです!
彼ら以外にも、血の通った厚みのある人間像でそれぞれに登場してくるキャラ達、
それぞれの背後に流れる関係性。
単なる友情や主従関係や家族関係だけでは表現しきれないもの……。
それらが読んでいてとっても“熱い”です!!
また、番外編はサブキャラ達にも焦点を当てて語られています。
本編派の方も、是非ご覧下さい。
メインキャラ以外の本編登場人物達が今に至るまでの背景に流れる物語にも「ぐっ」と来る筈!!
(2)中華好きにはたまらない、作り込まれた世界観
他の方も言及されていますが、主人公の蚩尤を始め、登場人物たちの中には、中国神話に登場してくる神様や伝説的な人物と同じお名前を持っているキャラが散見されます。
これは、作者様の他作品でも度々見られるもの。
中国神話・伝承が好きな方なら、「どんな風に描かれているのか……?」なんて楽しみ方もできます。
勿論、知らなくても、丁寧な描写で世界が描かれ、また適宜注釈も施されているので、構えずに読んで行けます。
(3)張り巡らされた謎
第一編では「黒い病」という、人々の中に忍びよる驚異を蚩尤と雷堂による調査が始まるところ。「黒い病」を治療して回る天上聖母なる人物。また、「太乙救苦天尊」の名を掲げて病の特効薬を提供する存在が登場します。果たしてその背後にあるものは……?
また、主人公・蚩尤やサブキャラ達にも、何か秘密を抱えていそうで……。
そういった、キャラ自体の厚み、キャラ同士の関係性、重層的に張り巡らされた謎と陰謀。
……と、読み応えたっぷりな本作、是非お楽しみあれ!
■こんな方に
☑骨太のハイファンタジーを読みたい方
☑神話・伝承に彩られた厚みのある世界観の物語が好きな方
☑硬派な味わいの文章で紡がれる熱い人間ドラマが読みたい方
龍人族、獣人族、妖魔に不死に、黒い病。中華世界を舞台に繰り広げられる、主従ブロマンス。
硬派ファンタジーファンのみなさま、これだけでもうワクワクしませんか⁉︎
それぞれに背景のあるキャラクターも謎に溢れるストーリーも素敵なのですが、特に心惹かれたのは、重厚な世界観!
作者様の知識の豊富さが感じられる作り込まれた世界に、一瞬で引き込まれました。「どこまでがオリジナルなの?」と、思わず調べてしまったほど、それぞれの設定の背景がしっかりと練られていて、とにかくリアリティがあるのです。
設定が緻密だと、「ついていけるかな」「理解できるかな」と不安になる方もいらっしゃるかと思います。
ですがきっと、そんな心配はいりません。
こちらの作品では、中華世界に馴染みのない方でもわかりやすいように注釈がついていますし、ファンタジー部分もエピソードを交えてきちんと説明がなされているので、自然と物語の世界に没入できると思います!
このレビューでは世界観に焦点を当てておりますが、他のレビュワーさまが書かれているように、魅力盛りだくさんな作品です。
中華ファンタジーファンの方はもちろん、骨太な作品がお好きな方、謎を追うストーリーにワクワクする方、そして唯一無二の絆で結ばれたバディに尊さを感じる方にもおすすめです。
ぜひともご一読くださいませ!
舞台は、魔獣蠢く中華ファンタジー。
人を超えた存在である不死の能力を持つ者や、龍人・獣人が生きる世界。
主人公の丹省諸侯の子息である姜蚩尤、そして従者の雷堂は無事官吏の試験に合格。役人の末席にあって、執務に邁進していたのですが、国中に蔓延する『黒い病』に関する陰謀に巻き込まれていきます。
聖母や丸薬、怪しげな組織など、物語の後半になるにつれ、ズブズブと深みに嵌っていく感覚になります。
ストーリーだけでなく、クールで捉えどころがない蚩尤に、どこか振り回されるのを楽しんでいるような雷堂、情報屋の騶潤との出会いなど、人物にも魅力がたくさん。
重厚かつ流れるような筆致で描かれる濃密な世界観に、浸ってみませんか。
おすすめです!!
蚩尤で思い浮かぶのは、聖王黄帝と車神蚩尤。中国の神話、四神や応龍が好きな方は、中国の戦争起源神話に登場する、同名の神さまが思い浮かぶ方もいるのではないでしょうか。
私はかじる程度しか知識はありませんが、この作者さまの違う作品でもこの手のお話を取り扱っていた記憶があり、やはりすごいなぁといつも感心しております。
この作品はまた別の視点で描かれているオリジナル作品(おそらく)なので、姜蚩尤と雷堂のバディが『黒い病』の謎に挑んでくという、中華ファンタジーや仙侠ファンタジーの世界観が魅力。
なりよりこのふたりの、バディなんだけど主従関係は崩さない、という絶妙な距離感も個人的には楽しみのひとつとして読ませていただきました。
改めて、柊さまの本格中華に魅せられます✨
一見、若い世代のひとには近寄りがたい中華もの。といっても私は元々大好物ですが。そんな中にも新しさがあり、難しいなんて食わず嫌いをしている場合ではありませんよ!
重厚で素晴らしい文章は勉強になりますし、物書きを目指すならばぜひ読んで欲しい今作。もちろん、本格中華ファンタジーが好きな方ならばなお必見。ぜひこの機会に、本格中華の世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?
高い文章力に裏打ちされた、壮大な世界観を持つ中華ファンタジー作品です。
クールでなにを考えているのかあまり表に出さない主人公 蚩尤(しゆう)と、彼の配下にして相棒である雷堂のふたりが中心となって進行していくバディものです。
序盤はふたりが官吏の試験に挑むくだりが展開されますが、物語の本番はそのあとから。
国の各地で発生している、身体が腐っていくという黒い病。それを奇跡の力で治すという天上聖母。そして黒い病を治せるという薬の存在。それぞれの調査に赴く蚩尤(しゆう)と雷堂ですが、なにか大きな陰謀の匂いが漂ってくるのです……。
物語の展開もさることながら、本作の魅力には登場人物の描写にあります。
それぞれの立場、考え、関係性が丁寧に描かれております。
私の好きな登場人物は、調査を進める蚩尤(しゆう)と雷堂が出会う、騶潤(すうじゅん)という中年男性です。
初登場の印象は、どこか胡散臭い感じなのですが……読み進めていくとこの人物の優しさというか人間臭さが心地よく感じられるのです。主人公らが高い身分であることもあり、あまり庶民的ではなく、特に主人公 蚩尤(しゆう)がどこか浮世離れしている分、この騶潤(すうじゅん)の小市民感がたまりません。
番外編にて主役を務めたりもしますが、これで私はますます好きになりました。
本作は第一編の終了とともに一旦完結という形になっておりますが、続きを書いていただける予定もあるようなので楽しみです。
重厚な世界観を持った中華ファンタジーがお望みならば、本作をぜひご一読くださいませ!
まずは壮大な世界観。そして、主従でありバディであるふたり。周囲を取り巻く人々。
引きずり込んで離さない、どっぷりと浸れる中華ファンタジーがここにあります。
文章は流麗で、するりと読める。けれど確かにずっしりとした重厚ものがそこにあるのです。
特筆すべきは、その人間関係の妙でしょうか。
そこが丁寧だからこそ、この作品は深みを増しています。それこそ、目の前で映画を見ているかのようにも思えるくらいに。
中華ファンタジーならでは、という神仙や、不老不死、そういった要素も見逃せません。
読み終えた時には、映画館で映画を見終えたような、一緒に事件を追いかけたかのような、そんな満足感と高揚感があります。
ぜひ、ご一読ください。
このお話は、主従関係にある二人を中心に進んでいきます。
主人公である姜蚩尤と、従者で友人の雷堂。二人が揃っていると最強感がすごい。この二人なら何でも乗り越えられるのでは……?と期待しています。
そこに、この二人を取り巻く人間模様。緻密に描かれていて、中華ドラマを見ている気分です。ハラハラドキドキの臨場感がたまりません。
加えて、壮大な世界観。練りに練り上げられた世界なのだろうというのが伝わってきます。作り込みが素晴らしいです。
重厚な地の文で彩られる世界に、メインの二人と人間模様が絡み合い、読者をどっぷりとお話に浸らせてくれます。
皆様もぜひ、読んでみてください。
主人公、姜蚩尤とその従者であり友人の雷堂の中華世界冒険ファンタジー。
重厚な物語のうねりを感じるような第一編。
まだまだ謎がちりばめられていたり、蚩尤や雷堂も成長過程ですが、もうすでに蚩尤は大物になるな…という空気を感じます。
根源地から湧き出る妖魔との闘い。噂の聖母、噂の病。
それにまつわる市井の人々。獣人。龍人族。
わくわくする用語や世界観。ひとつひとつが丁寧に作りこまれているので、本当に存在する中華神話世界を堪能しているような気分になります。
霧の中に隠された謎のように、見え隠れする使命や運命へと誘われていく。
メイン二人だけではなく、他の登場人物にも確かに息づいている。
個人的にはとても仲のいい二人なのに、表向きは主従としてふるまう蚩尤と雷堂のやりとりが魅力的。
重厚な中華ハイファンタジー、男男主従バディが好きな方におすすめです!
圧倒的な世界観とその描写力で綴られる中華風ファンタジー。
主人公とその友人による男男バディかつ、主従が、とても熱い作品です。
現在第四章まで完結されていますが、中でもオススメなのは、三章からはじまる『黒い病』を巡るお話。
病の謎を解き明かすために主人公・蚩尤が行動を開始する様が、とても素敵。
私は頭のいいキャラクターが大変好みなのですが、蚩尤様……大変賢くて、彼自身にも謎がありそうで、とても興味深いお方です。
蚩尤のバディであり主従関係にある雷堂も、もちろん素敵。武官の方が向いていると言われているのに、蚩尤と共にあるために試験を受けるだなんて……なんて健気なんだろう!
他にも、魅力的な登場人物と、世界観に没入できる謎や仕掛けが散りばめられています。
重厚な中華風ファンタジーを求める方も、熱い主従や男男バディを求める方も、是非、お読みください!
主従関係にある姜蚩尤と雷堂が、黒蝕病という奇怪な病を調べるうちに、底知れない深い謎に足を踏み入れるお話です。
といっても、謎は一つの通過点のような気がします。
事件を通して、世界を知り、己を知り、使命を知り、姜蚩尤と雷堂が絆を深めていく。
そんな果てのない壮大な世界が広がっているように思います。
作者である柊さんは、女性が主人公だと色気たつ艶やかな文体なのに、男性バディにふさわしく、硬派な文体で特殊な世界観へと引き込む筆致はさすがだと感心します。
戦闘シーンあり。黒蝕病という謎の病に絡む、一筋縄ではいかない人々とのやりとりも魅力的です。
悩みながらも己の道を突き進む、姜蚩尤。
主人を守る立場である雷堂の生きかた。
見どころがたくさんの本作。重厚な世界観で織りなす中華ファンタジーにどっぷりとハマりたい方におすすめです。
身分の高い主人公が相棒とも言える友人と共に武力や知力で戦い、人君への道を歩んでいく――という好きな人は大好きなストーリー。
戦闘場面も勿論ですが、巷で起きている現象(事件?)を調査し対応していく主人公達の姿もまた格好良い。
そんなストーリーを引き立ててくれるのはその世界設定の緻密さと、それから硬派な地の文ではないでしょうか。
ただ物語を成立させるための世界設定だけではなく、それ以外の細かいところまでしっかりと作り込まれていると感じます。じゃあ設定がつらつら書かれているのかと言えばそんなことは全くなく、あくまで読み手の没入感を補助してくれる程度にそっと添えられている印象です。お陰で登場人物達の周りの光景まで自然と頭の中に浮かんでくるので、より物語を楽しめます。
現在第四章。物語は収束に向かうのか、それともまだまだ続いていくのか。個人的には長くたくさん続いて欲しいと思うくらい素敵なお話です。
主人公の蚩尤は上流階級の子息。友人の雷堂と共に成長した彼は、ちまたで恐れられる『黒い病』に関連した怪しい噂を調査することになるのだが……
作りこまれた設定と深い中華世界観への理解が本作の魅力!
中華ファンタジー好きに嬉しい内容です☆
しかも物語をつづる文章には重厚感があって、書籍で売られていると言われても疑わないレベルの仕上がりです。
なので「WEB小説の文体は軽すぎてもの足りない……(;´д`)トホホ」みたいな感想をお持ちの方に、特におススメです☆
ここからは、わたしが本作の見どころだと思う部分について――
『黒い病』という本作オリジナルの病の話が出てくるのですが、それに関連して何やら陰謀の臭いがするのが面白いです!この事件がどんな結末を迎えるのかを楽しみに完結まで追って行く気満々です♪(((o(*゚▽゚*)o)))
最新話に追いつきました。
この物語の最大の魅力は、壮大な世界観とそこに根付くキャラクターたちの生き様でしょう。
丹省という地の息遣い、科挙試験という制度の緊張感、そして人間と龍人族、不死といった特異な存在が中華ファンタジーにオリジナリティを添えています。
雷堂と蚩尤の対照的な関係性も物語を引き立てています。強大で誇り高い龍人族の雷堂と、秘密を抱えた蚩尤。二人の会話には軽妙さがありながらも、互いへの信頼と深い絆が感じられます。
そして無理のないストーリー展開は読んでいて心地よく、しっかりと導線が練られているが故に物語の軸がぶれていない。ありがちなサブストーリーは必要最低限、キャラの行動の背景を掘り下げる力は見事としか言いようがありません。
読み始めたら止まらない強烈な魅力を感じました。
続きが気になってやめ時が見つからない貴重な作品、二部も楽しみです。
ぜひおすすめ!
まず惹きこまれるのは作者様の文章の美しさです。硬派で端麗な文は、これをwebで読んでいいのかと驚嘆するほど。
こういう硬派堅実な美しい文章を目指す方は私だけではないはず……
物語は中国に関する知識をもとに描かれており、私は封神演義や十二国記を読む時と同じ感覚を覚えました。
名家に列し、人とは異なる性質を持った主人公と、彼の隣にいて支える龍人族の二人組は信頼関係で繋がれ、しばしば垣間見える幼馴染ならではのやりとりが魅力。
そして現れた不思議な治癒力を持つ娘。
人々を襲う病の不穏な闇は、いったい真実はなんなのか。
娘も知らぬ娘の正体とは。
さらにこの病をめぐり、何やら胎に策謀を秘めた一派が主人公たちの前に現れ、事はさらに関係者を広げて大きくなっていって……。
政を司る官吏の間に張り巡らされた人間たちの絡み合いには、葛藤というべき感情もあれば、大丈夫だ、と読者を安心させる信頼もある。
一方、市井に目を向ければ、苦しみや諦観を味わった経験を持ちながら、それでも生きる人の姿がある。
彼らを動かしている力は、人と人との関係であるように見えました。
壮大な世界図が存在し、数多の登場人物たちがその中で一体、どのような運命を辿り、今後どのように進んでいくのか気になります。
そして、繰り返しますが、類稀な優れた文章に酔いしれる作品です。
ぜひ、世界に飲み込まれるような筆致に身を沈めてご堪能ください。
(第一編完結にて、レビューを書き直しました)