冒頭一行目から武者震い!!

安是の里では、恋をした女は光る。
冒頭一行目で「すげぇもの読んでる!!」と鳥肌が立ち、十行進んだ時点で私は作者さまのプロフィールを確認しました。
『きっとプロだろう』と。

山里にある村。
おどろおどろしい伝説や因習が残る地で、かすのみと呼ばれ虐げられていた娘は、ある日別の村の青年と出会う。
二つのに村は因縁があり、惹かれ合うことなどないはずだった二人が結ばれたとき、物語が動き始めます。

細部までよく作り込まれ、一部の隙もない舞台設定に気付けばどっぷりと浸かっていました。
各キャラ……特に主人公が背負った業の深さが最後まで話を貫いていて、各エピソードの動機となり、また胸を打つラストへとつながります。
主人公・かすみの母とかすみの関係が一つの肝かと。
途中何度も息を呑む展開があり、母と子の関係、さらにかすみと燈吾の行く末が気になって、読む手を止められませんでした。
そして燈吾の妹・小色も鮮烈なキャラ。他のキャラもそれぞれ登場する意味がきちんとあり、二十七万字の果ての壮大な結末に一役買っていると思います。

とにかく圧巻の一言。
書店で買った本を読んでいるのかとたびたび勘違いするほどの完成度でした。
読み終えてもまだ私の周りに世界が広がっている気がして、自分が今どこにいるのか判然としなかったほどです。
いつかこのお話が書店に並びましたら真っ先に購入させていただこうと思います。






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