鳥肌が、とまらない

この小説、とにかく「すごい」の一言に尽きる。
 闇の中、体を光らせ愛を確かめ合う男女のなんとなまめかしく、美しいこと。私の中では、「天城越え」の歌詞のイメージ。

 道ならぬ恋に溺れ、それゆえに、怒り、不安を覚え、そしてまた思いを新たにして困難に立ち向かう。主人公がみなからは邪険にされていて、そのようにしか読めないのに、愛する男に美しいと認められたとたん一気に頭の中でのイメージが美しい女性へと変わる。

 因習の残る集落でのおどろおどろしく、痛く、苦しく切ない愛の物語。

 一度読んでみてください。この世界観が、しばらく頭の中から離れません。


 

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