概要
いきもの係、ナマズと恋をする
いきもの係を押しつけられた女子中学生「音和(おとわ)」は、教室で飼っているナマズの世話で夏休みが台無しになるのにがっかりしナマズを呪った。
しかしナマズの正体が、喋る妖怪「おとぼうナマズ」だと知る。
喋るナマズと対話するうち、孤独な音和はナマズに心を開いてゆく。
さいかわ葉月賞応募作。お題は「夏」
しかしナマズの正体が、喋る妖怪「おとぼうナマズ」だと知る。
喋るナマズと対話するうち、孤独な音和はナマズに心を開いてゆく。
さいかわ葉月賞応募作。お題は「夏」
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!生き地獄死んでも地獄鯰道。川に引く尾を振り向けば暗がり照らす逸れ火の列
喋るナマズ?ナマズと恋!?一体どんな話なんだ!と読み始めて見れば、想像していたものを良い意味でひっくり返されました。
物語や言葉に込められている情報・情念が非常に多く、強いです。人間の業や切実な思い。描かれる数多のことがぐぐっと胸に迫ってきました。のし掛かってきた、と言っても良いかもしれません。
様々な要素は互いに絡みあい、意味を引き出しあい、「夏」によって見事にまとめあげられています。不思議、幻想的、儚さ、温度……他にも、どれも夏だからこそ、この時期だからこそ、描けるものだと思いました。
受け取るものが多すぎて、全てを言葉にすることは到底できません。言葉にすれば伝えられるというものでもあ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!いきものに対する感性が熱い!
小説として扱い難く、書きにくいと思われる鯰(なまず)。その掴みどころのない存在を【喋る鯰】という新しい切り口で読者にシュールな印象を強烈に与える、先鋭的な感性が織り成す斬新な物語です。
――喋る鯰の正体とは?
生まれ変わり、輪廻、因果応報……物語に深みをもたせつつ、お盆特有の幻想的な施しも味方につけ、物語に上手く落とし込んでいる点もとても素晴らしいと思います。
犯した罪人にくだる天の災いが激甚で、至らしめる澎湃たる末恐ろしさが同居したスリリングな展開も見逃せません。
夏に飽和しかかった読書感覚を塗り替えて新たに払拭されるような印象を受けるかもしれません。捉えようにも、捉えられない――ま…続きを読む