生き地獄死んでも地獄鯰道。川に引く尾を振り向けば暗がり照らす逸れ火の列
- ★★★ Excellent!!!
喋るナマズ?ナマズと恋!?一体どんな話なんだ!と読み始めて見れば、想像していたものを良い意味でひっくり返されました。
物語や言葉に込められている情報・情念が非常に多く、強いです。人間の業や切実な思い。描かれる数多のことがぐぐっと胸に迫ってきました。のし掛かってきた、と言っても良いかもしれません。
様々な要素は互いに絡みあい、意味を引き出しあい、「夏」によって見事にまとめあげられています。不思議、幻想的、儚さ、温度……他にも、どれも夏だからこそ、この時期だからこそ、描けるものだと思いました。
受け取るものが多すぎて、全てを言葉にすることは到底できません。言葉にすれば伝えられるというものでもありません。
そういった繊細な数々を、ぜひ多くの方に実際に読んで、感じていただきたい作品です。