大人になるって何だろう。
僕はこちらの物語を拝読させて頂いて、ふとそんな事を考えました。子供の頃のこと、思いだせるのはどんどん少なくなっていきます。
僕は砂場が好きだったこと。
木に登ってセミを手づかみでつかまえたこと。
ブランコを大きくこいでジャンプして、誰が遠くまで飛べるか競ったこと。
ひどい夕立の中、友達とびしょ濡れになって神社で雨宿りしたこと。
お寺の鐘突き堂で、五時になったら鐘を突かせて貰ったこと。
町のお祭りがあって、夜の提灯がすごく綺麗だったこと。
あの幼い頃、僕には無限に時間があって、毎日がすごくゆっくり流れていて、毎年たくさんの想い出が心の中で生まれていました。
だけど、大人になると少しづつ何かが変わります。それは悪い事ではないかもしれないけど、どこかどうしょうもなく等価交換で、何かを失う気がするんです。
こちらの物語は、そんな僕の子供時代をふっと思いださせてくれました。
とても温かくて、優しくて、きっと誰もが大切にしたくなる物語です。
お勧め致します。
筆者様のお優しい心映えが、そのまま投影された様な素敵な物語。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
読書中から読後感まで、ずっと「暖かい」気持ちが続く、ハートフルな物語です……!
不思議な友達との関係性が、誰もが子供の頃に「もしかすると見えていたかもしれない」とリアルな共感性もあり、それでいて優しい文体・一人称から伝わってくる暖かさ!
主人公である「僕(ボク)」の成長を、時間に合わせて一人称で表現しているのも、巧みなポイント! 流暢になっていく言葉や行動から、何だか子供の成長を見守っているような気持ちにもさせられる、やっぱり暖かな雰囲気がずっと続いているような作風……これはお見事、お見事ですよ……!?
楠の花が開く5月ごろのような、暖かな陽だまりを思わせる作風と、心に沁み入る温かさ……5000字と少しの短編、是非ともご一読をオススメします。本当に良い物語ですよ……!