暖かさを手渡しで受け継いでいく優しい物語。温もりが胸に沁み入ります……

 読書中から読後感まで、ずっと「暖かい」気持ちが続く、ハートフルな物語です……!
 不思議な友達との関係性が、誰もが子供の頃に「もしかすると見えていたかもしれない」とリアルな共感性もあり、それでいて優しい文体・一人称から伝わってくる暖かさ!

 主人公である「僕(ボク)」の成長を、時間に合わせて一人称で表現しているのも、巧みなポイント! 流暢になっていく言葉や行動から、何だか子供の成長を見守っているような気持ちにもさせられる、やっぱり暖かな雰囲気がずっと続いているような作風……これはお見事、お見事ですよ……!?

 楠の花が開く5月ごろのような、暖かな陽だまりを思わせる作風と、心に沁み入る温かさ……5000字と少しの短編、是非ともご一読をオススメします。本当に良い物語ですよ……!

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