概要
迷子の僕を導いてくれたのは、クスノキに棲む木霊だった
僕は四歳のとき山で道に迷い、大きなクスノキに棲む木霊(こだま)と出会った。
こだまは、そのまま山を離れ、僕の家の庭にあるクスノキに棲みついた。
子どもの姿をした木霊と僕は、友だちのように楽しく過ごした。
だが、徐々に成長していく僕と、いつまでも幼い姿のままの木霊は……。
童話のようなお話です。
5400文字の短編
こだまは、そのまま山を離れ、僕の家の庭にあるクスノキに棲みついた。
子どもの姿をした木霊と僕は、友だちのように楽しく過ごした。
だが、徐々に成長していく僕と、いつまでも幼い姿のままの木霊は……。
童話のようなお話です。
5400文字の短編
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!忘れていたもの、愛しいもの( ;∀;)
大人になるって何だろう。
僕はこちらの物語を拝読させて頂いて、ふとそんな事を考えました。子供の頃のこと、思いだせるのはどんどん少なくなっていきます。
僕は砂場が好きだったこと。
木に登ってセミを手づかみでつかまえたこと。
ブランコを大きくこいでジャンプして、誰が遠くまで飛べるか競ったこと。
ひどい夕立の中、友達とびしょ濡れになって神社で雨宿りしたこと。
お寺の鐘突き堂で、五時になったら鐘を突かせて貰ったこと。
町のお祭りがあって、夜の提灯がすごく綺麗だったこと。
あの幼い頃、僕には無限に時間があって、毎日がすごくゆっくり流れていて、毎年たくさんの想い出が心の中で生まれていまし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!暖かさを手渡しで受け継いでいく優しい物語。温もりが胸に沁み入ります……
読書中から読後感まで、ずっと「暖かい」気持ちが続く、ハートフルな物語です……!
不思議な友達との関係性が、誰もが子供の頃に「もしかすると見えていたかもしれない」とリアルな共感性もあり、それでいて優しい文体・一人称から伝わってくる暖かさ!
主人公である「僕(ボク)」の成長を、時間に合わせて一人称で表現しているのも、巧みなポイント! 流暢になっていく言葉や行動から、何だか子供の成長を見守っているような気持ちにもさせられる、やっぱり暖かな雰囲気がずっと続いているような作風……これはお見事、お見事ですよ……!?
楠の花が開く5月ごろのような、暖かな陽だまりを思わせる作風と、心に沁み入る温…続きを読む