もし自分が「かすのみ」だったら何を選ぶ?
- ★★★ Excellent!!!
舞台は東の果て、遥野郷。その深部の山里、安是に住むかすみは、一人の男と契りを結ぶ。
安是の女は恋する者を想うと、光る。蛍のように、炎のように。
里では虐げられ、「かすのみ」扱いされているかすみの良人となったのは、安是とは因縁浅からぬ寒田の里の偉丈夫。
いがみ合う両里の恩讐を超えて添い遂げようとするかすみの前には、様々なひとの、里の、そして山の情念が渦巻く。
さながら絡みつく髪毛のように心身を縛るものごとに、寄る辺もなく、しかし、敢然とひとり立ち向かうかすみの選択とその顛末は――。
もし自分がかすみの立場だったらどうするのだろう。この里のシステムであったのならどうしただろう。
ひとを突き動かすちから。役目が、立場が、山が、そして想いが与え授ける力は同時に等しく呪でもある。自分なら、どう対峙しただろう。
そんな事を考えながら先へ先へと読み進めると「そこまでやるか…」という思惑の数々がこれでもか……っていうかね!
レビューでこんな事言うのはどうかと思うんですけど、いろいろあって書ききれないからとにかく読んで!
後から一気に読もうとすると読めませんていうタイプの濃い奴だからちょっとずつ読んでけ下さい。
かすみの顛末を、共に見届けましょう。