私たちがわかる物をあなたはわからない。だからこそ

元・国語教師の老翁と、アシスタント・ロボットのお話です。
マスターはロボットであるところの「私」に日記をつけるように申しつけ、あまつさえ点数を付け出します。
「私」は点数の低さに納得がいかず、試行錯誤していくのですが――。

異世界ものでもイノセントものでも、「私たち(読者)にとってはある意味常識であるものを、登場人物は知らない」というギャップから、面白おかしく、ちょっと嫌な感じで言うとやや上から目線でニコニコ楽しめるお話ってあるじゃないですか。それです。

それなんですけどね、すごくなんというか、エレガントなんです。
ロボがね、良いんですよ。これどっかで買えるのかな?紹介して?と思ってしまいました。
そしてまた、マスターもね、身寄りも家族も無い「お一人様」なんですけど飄々としていていいんですよ。

お話を通じて、学ぶこと・教えること、そういう連綿と続いてるやりとりのなんというか、嬉しさというかそういうものが、すごくいいなあと思いました。
上から目線で読んでてすまなかった!アスさん!アンタ最高のロボだよ!うちに来ないか!

そしてね、タイトル、めちゃくちゃ素敵なんです。
花。花はいきなり咲くんじゃなくて、種をまいて育てるものですもんね。マスター?

ロボものがお好きな方、先生と私もの(?)がお好きな方、そしてそうでない方も、ぜひ。

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