光り燃ゆる想いの果てを描く物語

背中が粟立つ程、残酷で目を背けたくなる世界を生々しく、美しい文章で紡ぐ物語は決して美しいだけの恋の物語ではない。
恋をして、愛するという感情を甘く美しいものとしてではなく、醜くさも孕んだどろりとした感情と共に描いている。
主人公は里から虐げられている女性だ。里への恨みを鬱積しながら生きるかすみはどこか泥臭さもある強い女性だ。だけど、目が離せない。愛する人の為ならどんなことをしてでもという情念を持って動く人間のむき出しの感情に圧倒されてしまう。
この物語はミステリーとホラーも併せ持つ。深まる謎が解け、目をそらしたくなるような、おぞましい描写にも読み進める手が止まらなくなる。
特に後半の山の描写には鳥肌が立ってしまった。
恋をした人間の美しいだけではない、生々しい想いの行く果てが気になる物語です。

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