深い思いにただ、とらわれる

読み終えた後、題名を見て深い息を吐いた。
もう、ただひたすらに圧倒される物語だった。
人の思いはこんなにも醜く、そして哀しいものなのかと物語を振り返り、いつまでも余韻に浸っていたい程に圧倒される物語だった。
主人公は夫と二人暮らしをする教師の女性だ。そんな主人公、暁の元に夫からの荷物が届く。中に入っていたのは……と始まる物語は導入から一気に引き込まれる。
言葉のひとつひとつが柔らかでありながらも緊迫感があり、頁を捲る手を止められないほどに深く深く物語に没入する。
何よりも、人物に魅せられる。
こうなるに至ったきっかけは何なのか、どうしてこうなってしまったのか、少しずつ紐解かれる物語は見る人の心にも何かを突きつけてくる。
この物語は是非、最後まで読んで欲しい。
最後まで読んだとき、きっと、題名を振り返る。題名を振り返り、キャッチコピーに思いを馳せる。
人の醜さに触れて、顔を背けたくなりながらも目を離すことが出来ない物語に深く惹かれてしまう。
どうか、彼らに幸いあれ。
奈落より深き闇に触れて、私はこの余韻に浸り続けたい。