傷ついた二人が最愛の人になるまでの物語

戦火により傷痍軍人となったイヴァンと戦争をきっかけに体を売らざるをえなくなった少女スノウの物語は二人の出会いから始まる。
この物語は人間の業を書いている。人間の浅ましさを、欲を、読者に突きつけてくる。それなのに真っ直ぐに心に届くのは、作者様が人間を分かっているからなのかもしれない、と思う。
決して綺麗なだけの物語ではない。そこにいる人達の生きる姿を、命を丁寧に描いた物語は深く心に残って終わった後も雪降る景色と共にエンドロールが頭の中に流れていく。
物語を読み終えたとき、私はこの物語の題名を見る。
そうして彼ら二人の道行きを思い返すのだ。
そして彼らと関わった人々のその後にも思いを馳せる。短い関わりながらもその人たちの背後にある人生が見えてしまう描写に改めて圧倒させられる。

まるで長い映画を観た後の満足感を味わえる物語です。

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