ディ・ア・レ・スト

作者 つるよしの

233

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★★★ Excellent!!!

最愛を得る。最愛となる。
これはどこまでも「人間」の物語だった。厚みのある過去を背負い、それを下ろせるはずもなく、そして複雑な心を抱えている。

イヴァンもスノウも、どちらも過酷なものを背負っている。
ささいな切っ掛けから縁を結んだ彼らの「縁」が「絆」となり、そして「愛」になる。

どこまでも美しく、けれども過酷。
人間の内面をありありと描いているようでもあり、心に迫るものがあるのです。

ぜひご一読ください。
どうか、彼らに幸あれ。

★★★ Excellent!!!

戦火により傷痍軍人となったイヴァンと戦争をきっかけに体を売らざるをえなくなった少女スノウの物語は二人の出会いから始まる。
この物語は人間の業を書いている。人間の浅ましさを、欲を、読者に突きつけてくる。それなのに真っ直ぐに心に届くのは、作者様が人間を分かっているからなのかもしれない、と思う。
決して綺麗なだけの物語ではない。そこにいる人達の生きる姿を、命を丁寧に描いた物語は深く心に残って終わった後も雪降る景色と共にエンドロールが頭の中に流れていく。
物語を読み終えたとき、私はこの物語の題名を見る。
そうして彼ら二人の道行きを思い返すのだ。
そして彼らと関わった人々のその後にも思いを馳せる。短い関わりながらもその人たちの背後にある人生が見えてしまう描写に改めて圧倒させられる。

まるで長い映画を観た後の満足感を味わえる物語です。

★★★ Excellent!!!

現実的には、完全な人間はいない。人というのはみな、何かに欠けているものだ。

精神的に、或いは肉体的に。
生まれかもしれないし、育ちかもしれない。

仮に本人に要因がなくとも。時代という抗えない大きなもの、人の手の届く世界そのものが何かに欠けている。

他人が後世の者が、あれは過ちだというのは簡単だ。現実には、世の中の構造はずっと複雑で、人は完全ではない。国でさえも。

人は群れを作れば、他者に群れの中での正しさを求める。人は理解に困難を感じれば、世界に単純さを求める。
それは創作であっても変わらない。読者というのはとかく、正しさを求めたり、正しくないものに罰を求めるものだ。現実が複雑で欠けているからこそ、娯楽にそれを求めるのは当然なのかもしれない。

もし、作者が人間の不完全さをありのままに描こうとするのなら、娯楽作品であることを投げ捨てるか、その段階を飛び越して作品として成立させる高い技術、なによりも人間に向き合う覚悟が必要なのではないか。


『ディ・ア・レ・スト』

この作品には、その両方が過不足なく備わっている。

不完全な人間を描こうとする真摯さ、誠実さ。その重く複雑なテーマを娯楽作品として磨き上げる技術――



――とかなんとか。
カッコつけてレビュー書いてみたけど、何を書いても蛇足だと思うので忘れて。趣味に合いそうなら是非読んでほしい。

読んで良かった。出会えて良かった。ありがとう。

★★★ Excellent!!!

旅路もここで死んでおしまいだと何度も思い続けました。
けれども目次によるとまだまだ続く。
けれども生きる術が思い浮かばない。
けれども乗り越えてみれば手段は知っていたはず。
総じてさりげない所に情報を置いておくのがじょうずでした。
腕がよい。
見習います。


お幸せに。

★★★ Excellent!!!


 映画館から出てきたあとの爽快感を思い起こして欲しい。

 ポップコーンを片手にシアターに入り、わくわくしながら椅子に座り、暗転する室内照明に期待を膨らませ、楽しみにしていた映画を手に汗握りながら味わい尽くし、エンドロールの後に扉をくぐったときの、あの感覚だ。

 本作を読み終わったときに抱いた感慨が、まさにそれである。

 まるで映画だった。

 創り込まれた世界観は、本当にその世界が存在するのではないかと思えるほどにリアルで、そこに息づくキャラクターたちは名俳優が演じているかのように「キャラクター」であることを忘れさせるほど生き生きとしている。読んでいくうちに、自分の身体が宇宙に投げ出され、この物語に出てくるあらゆる態様を持つ星々を、主人公のイヴァンやスノウと一緒に旅をしているような錯覚を覚えるほどに、いつの間にか意識が作品の中に取り込まれてしまう。

 そんな、自分の意識が旅をしてしまうほどの惹き込まれる魅力が本作にはあった。

 致命傷を負って退役した元軍人のイヴァン。
 戦争の貧窮のなかで、自分の身体を売るしかなかった過酷な過去を持つ少女スノウ。

 前者は失った家族の記憶を取り戻すために、後者は忌々しい過去を忘れるために、お互い正反対の目的を持ちながら、彼らはともに旅をすることになる。その中で生まれる哀しみや優しさ、苦悩と絶望、失うことへの恐れ、そして愛おしさ。二人はともにあらゆる感情と傷を共有しながら、ときに反駁し、ときに慰め合い、ときに涙を流して目的地へと向かっていく。
その旅路の行き着く先は、感動の一言では語れないものである。二人がお互いをディアレストと認め合うまでの、壮絶な、それでいて切なく甘い結末が待っている。

 そして、その旅路の中で動く二人の心情は、お互いの視点を行き交う描写の中で鮮烈に書き出され、底の底まで湖の水を攫い出すような丁寧さと根気… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

不器用な退役軍人の男、イヴァン。戦争で傷つき、家族や自身の身体の一部を失った彼は、鉄くず拾いをしている少女スノウと出会う。彼女もまた戦争によって家族、そして自分の尊厳を奪われた犠牲者のひとりだった。とある事件をきっかけにふたりは逃げ出すように、あるいは求めるようにして広い宇宙への旅に赴くことになる――。

SFってなんだか専門用語がたくさんだし時代設定も飲み込まなきゃいけないしちょっと敷居が高いな、なんて心配はありません。たしかにこの物語の舞台は、宇宙船で旅行することなど珍しくもなくなった未来の世界。しかしそのさじ加減が絶妙で、“良い感じに便利になった未来”という印象が強いです。読んで理解できなかった名称はありませんし、その仕組みがわからなければ結末の意味がわからない、なんて難解なSF知識も求められません。この物語が伝えたいのはきっと、もっと人間のこころに関することだからです。

彼らの旅には目的地があります。つまりそれは、旅の終わりが決まっているということ。トラブルだらけの旅を進めるうちに、歳の差も十分にある男女は互いに惹かれあっていきます。不器用な軍人おっさんと強気で気高い美少女。この組み合わせが好み一直線なのが拝見したきっかけだったことをここに告白しますが、とにかくこのふたりのコンビが最高なのです。そして幾多の危険を乗り越えるうちにコンビはバディに、そして『Dearest=最愛の人』になるまでに愛が深まっていきます。きっと途中から彼らの旅が終わりに近づくのが惜しくなり、「ちょっとストップ!もっとゆっくり!!」と言いたくなるはずです(でも終わりが迫るからこそまたいいのです……!)

不自然な記憶の欠落により情緒が安定しないイヴァンと、元娼婦であるがゆえに“好きな人”との向き合い方に悩むスノウ。さらに訪れる惑星ではさまざまな戦争の傷跡(戦地跡ではなく、ひとの心の傷や闇部… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

傷だらけの元・軍人であるイヴァンと心に傷を持つ少女・スノウ。
異なる傷を持つ二人がたったひとつの落とし物を切っ掛けに、共に旅に出ることに。

様々な事件や出来事を通じ、絆を深め合う二人を待ち受けるものとは?

美しい色彩、美しい雪の描写。
戦争が残した傷痕と、消えない想い。
宇宙で繰り広げられる壮大なスペースオペラ。

「Dearest」
作者の秀逸な描写力で描き出される骨太なストーリー展開に唸らせられ、心に残る、とても素敵な物語。

★★★ Excellent!!!

 男女交互に紡がれるストーリーはまるでラブソングのデュエットのようでした。星を巡り旅をするストーリー背景も相まって、チープな言い方かもしれませんが、よりロマンチックな印象を受けました。

 普通のラブ×SFで終わらないのがつるよしのさんの手腕と思うので(別作品で洗礼を受けました)、最後までドキドキしつつも楽しんで二人の行方を見守りました。不器用な男の魅力が溢れてます。
 現実にいませんかね。

★★★ Excellent!!!

 戦後の街の様子、傷ついた人々の心情、綺麗事では済まされない展開……。SFでありながら、人間の内面を抉り出す生々しいリアルが、巧みな語彙や表現で描き出されており、圧巻でした。

 1話分が短く、展開も早いのでサクサク読めました。
 SF初心者でも取っ付きやすく、最後には感動が待っているので、読了後の満足感が高いです。
 
 非常に良く作り込まれており、小説書きとして学ぶべきところの多い作品でもありました。

★★★ Excellent!!!

退役軍人のイヴァンと、戦時中と戦後の不安定な情勢下で、名前とは裏腹の悲惨な身の上を背負ってしまった少女スノウが、宇宙の船旅に出る。仄暗い世界観ながら読み心地がよく、しかし見えてくる人々の事情は濃く、どこか物哀しい空気に満ちています。

ストーリーがしっかり作り込まれており、見どころ・考えどころが多い作品です。イヴァンが失った記憶と、そこに絡んでくる暗澹とした事情。最愛の誰かを喪った人々の叫び。戦禍が誰にも等しく残した傷痕。それらに容赦なく牙を向かれながらも、お互いを大切な人として見出し、寄り添うイヴァンとスノウの甘苦混ざった恋愛模様。時に明るく、時に暗い展開がなされながらも、イヴァンとスノウの姿を追わずにはいられません。

アクアマリンと雪のような美しさを持ちつつも、時に責苦となる消えない汚濁を背負い、進む二人の旅路。その結末をぜひ、見届けてみてください。

★★★ Excellent!!!

戦争の終わり——。
惑星を旅する世界の中で起きた戦争、その終結。物語はそこから始まります。

目を覚ませば身体の一部は機械となり、大切な記憶も失っていた元軍人のイヴァン。
戦争の爪痕の残る社会の中で、自分の身体を売りながら生きていく少女スノウ。

ある日、イヴァンの落とした物をスノウが拾った事から、二人の運命は交わり進んでいく。傷というのは表面に見える物だけではない、と二人の視点が入れ替わりながら進んでいく物語を追っていくほどに思い知らされます。

しっかりとした文章と構成、なのに気がつけばどんどん「次を」と読み進めてしまうほどに惹き込まれてしまう。そんな作者様の筆力に脱帽です。

スノウに「雪」を見せようと始まった二人の旅は、時に傷を抉り鮮やかに蘇らせる。
そんな中で、二人の心が近づいていく描写がとても美しいです。

戦争が終わっても、人々の"心の戦争"は終わらない——。
そんな切なく厳しい世界の中で、スポットの当たる二人の物語。

きっと誰もが『最愛の人』を求め、その人の為に生きていく。
様々な生き様が交差する物語の果てに、二人の行き着く先は何処なのか。

是非見届けてほしいです。

★★★ Excellent!!!

これは「Dearest(最愛の人)を求める旅路――。

少女「スノウ」と傷痍軍人「イヴァン」は、共に旅をしていく過程で絆を育んでいく。様々な困難やイヴァンの過去に秘められた謎を通して、二人の距離が近づいていく過程がとても丁寧に描かれています。

二人が旅路の先で何を得て、何を知るのか?
結末は、読み進めることで確かめてみて欲しい。

良作です。非常に読み心地の良い作品でした。

★★★ Excellent!!!

傷痍軍人イヴァンは、記憶の一部を失っていた。
妻子がいたはずだ。二人は今どこに? なぜ自分は一人でいる?
なぜ、なぜ——分からないことだらけなのに、問いかけに答えてくれる者はない。
独りだった彼の前に現れたのは、少女スノウ。
望まない生活を強いられていた彼女は、苦境から助け出してくれたイヴァンに恋をする。
互いに行き場のなかった二人は、やがて共に広い宇宙を旅することに。
少女の名の由来となった、雪を見つけに。

端正な文章で綴られる、端正な恋愛物語。
無駄がなく書きすぎもしない、お手本のような流れのストーリー。
散りばめられた謎がほどよいアクセントになっていて、終始大変楽しく読ませていただきました。
テーマ性が強く、愛されること、愛すること、それらによる罪と救い——読んでいる間、様々な想いを巡らせました。
この文字数で、この内容。大変密度の濃い物語で、すばらしい読書体験を得られました。
自信を持ってお勧めできる一作です。ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

スノウが自分の名前について語る時の衝撃的な生い立ちが、序盤から心に深く残り、そこから一気に話を読むのにそう時間はかかりませんでした。

イヴァン自身の記憶に残された秘密と、謎の追手たちとの攻防の中で揺らぐスノウの恋心が相まって物語がどんどんスピードアップしていきます。
また、話ごとに非常にめりはりのある構成になっており、毎話できちんと話が進むので気がついていたら読み終わっていたくらいの没入感が持てます。

スノウの相手のいる人を好きになってしまったどうしようも無いやるせなさと、その名の通りの『雪』の如くピュアで真っ直ぐな気持ちや、
イヴァンもスノウを思いやるものの、妻子持ちの身であることから一線を引きながら、それでも彼女に惹かれる二人の心の描写が胸をつきます。

二人の微妙な心の揺れの中で話が核心に触れる時、二人の下した決断をぜひ、見届けてほしい作品です。

★★★ Excellent!!!

互いが持ちよった光と闇のメタファーがよく効いていて、また感情の動線も追いやすい構成が素晴らしく感じられました!
ハードな世界観なので、相対的に読者のカタルシスも大きいモノなり、先を促す原動力としてまたとないモノでした!

続きも頑張ってください!

★★★ Excellent!!!

元軍人のイヴァンと少女スノウは出会い、惑星間の旅を始める。

戦争で負傷した不自由な体に、失った記憶の謎。
かたや体を売ることを余儀なくされる生活。

戦争の傷跡は二人にも暗い影を落としている。
痛々しさの残る世界で、二人は手を取り合うようになる。

重い話であるはずなのに、読みやすい文体とテンポの良さで無理なく読み進められる。むしろどんどん先を読みたくなる。イヴァンとスノウの二人が育む「愛」を垣間見たなら、もう最後まで読まずにはいられない。

心に突き刺さる美しいストーリー。
その旅で二人は、「最愛の人」を見つけた。

★★★ Excellent!!!

心と体に傷を負った二人が出会い、惹かれ合っていきます。

冒険溢れる異世界の雰囲気ではなく、鉄くずを拾って生活するようなスノウ、そして体の半分を戦争で失い機械になってしまったイヴァン、独特な世界観もすごく素敵です。

今日の時点で★が104個しかないのですが信じられません。

こんなにレベルが高くて、そして読みやすくて、面白い小説、絶対に見逃さないでほしい。

★★★ Excellent!!!

 先の戦争で負傷し、身体の一部を機械に置き換えざるをえなくなった退役軍人・イヴァン。しかしイヴァンが先の戦争で失ったものは、身体の自由だけではありません。そして彼が、治安の悪い街で出会った少女・スノウ。スノウもかつて大切なものを失い、また、現在も失い続けています。
 イヴァンがスノウの住む街で落としてしまった義眼には、知らされていない大きな秘密があるようです。けれども取り戻しに行った義眼は、何故かスノウの手に。そこから、2人の惑星をめぐる旅が始まります。バトルあり、陰謀あり、過去のしがらみありの展開に、読むのが止まりません。旅の果てに明かされる真実とはーー。

 大切なものを失った2人がそっと身を寄せあい、時にすれ違い、補いあいながら旅する日々が、美しく切なく描き出されています。2人は喪失の痛みから恢復することができるのでしょうか。是非お読みください。そうして、降りしきる真っ白で清らかな雪に埋もれましょう。

★★★ Excellent!!!

傷痍軍人イヴァンと娼婦の少女スノウが出会い、ふとした切っ掛けから旅に出る。
往く先々で戦争の爪痕を目の当たりしながらも次第に惹かれ合う二人だったが、イヴァンの欠落した記憶がある謀略へと結び付いていて——。

物語は宇宙戦争後の世界を舞台にしたSFですが、理解が難しい科学考証や設定などはストーリーに関わっておらず、純粋な恋愛ドラマ&ミステリーとして楽しめます。
W主人公の二視点が各話交互に入れ替わる形式ですがシームレスに時系列が繋がっており、細やかな心情変化と少しずつ明らかになる謎が物語をグイグイと引っ張るのでダレ場がありません。
約十万字超ともう少し長くても良いかなと思わなくもないですが、気持ちよく読める分量でとても良かったです。

主人公二人には「ある部分」で大いに焦らされますけどね…… (^^;

★★★ Excellent!!!

何か人の優しさに触れた、そんな作品だった。もしかしたら、的外れなことかもしれないが、そんな感じを受けた。
本作はSFは設定としてありながらも、戦争とその意識の名残りが多く残っている。殺伐とした戦後を背景に、ここで描いているのは愛や優しさ等の人の内面だった。
人というものをしっかりと受け止めていなければこういう作品は書けないと思う。そして優しさがなければこういう作品は書けない。愚直ではなく誠実。そういう印象だった。
それ故に美しさがある。ただ殺伐とした冷たい雪原を描くのではなく、そこに咲く一輪を描いたところに優しさと美しさがある。

★★★ Excellent!!!

終戦直後。傷痍軍人と戦争孤児が運命的に出会い、ともに旅を続ける中で絆を深めていく純愛物語。読み始めた頃はそう思っておりました。
しかし読み進めていくうちに、人々にとって戦争とは何だろう? 終戦宣言が出たところで、彼らの中の戦争は終わっているのだろうか? などといろいろ考えさせられました。
骨太の素晴らしい作品だと思います。

イヴァンとスノウの物語。ぜひ一緒に旅をしてみてくださいね。

★★★ Excellent!!!

カクヨム様、★の数が足りません!★10個くらい付けたいです!
興奮のあまりレビューを書きなぐりたい衝動に駆られますが、ネタバレしてしまいそうな勢いなので我慢します。
なので、一言『アニメ化希望!』と書いておきます!

とにかく、読んでください!お願いします!お願いします!

★★★ Excellent!!!

 戦争で顔の半分と記憶を失った元軍人のイヴァン。
 物語は彼が意識を取り戻し、そしてその失った半分の顔に嵌められていた義眼を失くしてしまったことをきっかけに、スノウという少女と出会ったところから始まります。

 瓦礫の山で日々鉄くずを拾っていたスノウは、たまたま見つけたイヴァンの義眼を綺麗な石だと思い、指輪に仕立てていた。貧しいけれど純粋で可憐に見えたスノウには、しかしそれだけでなくもっと苛酷な秘密が……。
 イヴァンは彼女に望まれるままに彼女をその星から連れ出し、あてどない旅を続けるうちに、やがて自身の失われた記憶と残酷な運命と向き合うことになる——。

 失われた過去に苦悩しつつもスノウを守ろうとするイヴァン、そんな彼に惹かれ、ひたむきに想いを向けてもなかなか受け入れてくれようとはしない彼に複雑な想いを抱きながらも、献身的に尽くすスノウの姿はあまりに健気で、見守っているこちらの胸が痛むほど……。

 戦争、特に「戦後」という重いテーマを扱い、仄暗い予感にどきどきしながらもこの物語はどこへ行くのだろうと読む手が止まりませんでした。

 多くの困難と謎を乗り越えて、二人がたどり着いた運命の果て、ぜひたくさんの方に見届けていただきたい物語です。

★★★ Excellent!!!

 傷痍軍人と戦争弱者という、時代に翻弄された二人が主人公。
 戦争が終わっても、生きる希望が見出せない二人が、成り行きで旅に出る。旅先で様々な事件に巻き込まれ……
 難しいテーマですが、戦争によって、荒んだ人の心を様々な角度から表現し、それでも強く生き抜こうとしている頼もしさを感じさせる作品です。

 SFっぽく、星間旅行をしている気分にさせて貰えるのも、見所のひとつでしょう。

★★★ Excellent!!!

惑星間抗争の終わり、顔の半分を失ってしまった傷痍軍人・イヴァン。街でよろけた拍子に義眼を落としてしまい、探す途中で少女・スノウに出会う。

戦争によって心身ともに傷を負った二人は、互いを必要な存在と思うようになり…?

これはSF小説ではなく、ヒューマンドラマだ…。スノウ視点の描写は身につまされるものがありますが、めげずに生きようとする彼女の姿は美しいです。