寄る辺ない二人の旅の果てに——消せない傷を抱えた人間に、救いはあるか
- ★★★ Excellent!!!
傷痍軍人イヴァンは、記憶の一部を失っていた。
妻子がいたはずだ。二人は今どこに? なぜ自分は一人でいる?
なぜ、なぜ——分からないことだらけなのに、問いかけに答えてくれる者はない。
独りだった彼の前に現れたのは、少女スノウ。
望まない生活を強いられていた彼女は、苦境から助け出してくれたイヴァンに恋をする。
互いに行き場のなかった二人は、やがて共に広い宇宙を旅することに。
少女の名の由来となった、雪を見つけに。
端正な文章で綴られる、端正な恋愛物語。
無駄がなく書きすぎもしない、お手本のような流れのストーリー。
散りばめられた謎がほどよいアクセントになっていて、終始大変楽しく読ませていただきました。
テーマ性が強く、愛されること、愛すること、それらによる罪と救い——読んでいる間、様々な想いを巡らせました。
この文字数で、この内容。大変密度の濃い物語で、すばらしい読書体験を得られました。
自信を持ってお勧めできる一作です。ぜひご一読ください。