概要
あらすじ
2020年。世界には776冊の『異本』と呼ばれる特別な本があった。それは、読む者に作用し、在る場所に異変をもたらし、世界を揺るがすほどのものさえも存在した。
その『異本』を全て集めることを目的とする男がいた。男はその蒐集の途中、一人の少女と出会う。少女が『異本』の一冊を持っていたからだ。
だが、突然の襲撃で少女の持つ『異本』は焼失してしまう。
男は集めるべき『異本』の消失に落胆するが、失われた『異本』は少女の中に遺っていると知る。
こうして男と少女は出会い、ともに旅をすることになった。
これは、世界中を旅して、『異本』を集め、誰かへ捧げる物語だ。
※毎週、月、金曜日の18時更新。
※エンディングまでだいたいのストーリーは出来上がっておりますので、問題なく更新していける
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一度読んだらもう、この世界からは逃れられない。
38th Memory Vol.3(中国/成都/8/2020)まで読んでのレビューです。
本当はもう少し読み進んでから書こうと思っていたのですが、カクヨムコン期間ということで、応援の意味もこめて書きます。
「異本」というオリジナリティあふれる設定ですが、この設定の作りこみがすばらしいと思いました。作者様の膨大な知識量と、この物語を現実としてみせるための努力がありありと感じられます。
作りこまれた設定のおかげで、まるで現実にできていることかのように、この物語の空気感や世界観にどっぷりとつかることができます。
風景の描写や、登場人物の会話がどことなく洒落ているのも魅力のひとつ。
ものを書…続きを読む - ★★★ Excellent!!!色々な賞の選考にも残った、本と旅する物語。
『異本』と呼ばれる特別な本を集める物語。
現代世界が舞台ながら、その空気感はまるでファンタジーの様です。
こちらの作品は第6回カクヨムWeb小説コンテストの中間選考を通っていたり、
ノベリズム大賞では選考を通った上に主催側から言及を頂いているほど優れた作品です。
内容も実に美しく、キャラクター同士の掛け合いから始まるのが印象的でした。
話が進むにつれ世界観や目的が分かっていくという構成が実に素晴らしく、それだけで世界観にどっぷりと浸れます。
また本に関する知識も豊富で初版に関する出来事が話のキーになっていたり、フィクションながらベルリン崩壊といった実際の国の歴史や文化も作中に登場するな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本を愛する人間の心を、これでもかと鷲掴む物語
もっと早くにレビューを書くつもりでした。
ついつい物語を、じっっっくり味わおうとしていたら、もう月替わりに……m(__)m
子どものころ、学校の図書館が大好きでした。
背表紙が、ぎっしり詰まっている棚。
そこには魔法と夢が、スリルとロマンスが溢れんばかりに満ちていた。眺めるだけで幸せな気持ちになります。
本の価値って、なんでしょう?
知識。思想。文化。
見たことのないもの。行ったこともない場所。会ったことがないひと。
本には、あらゆるものが、収められている。
棚に並ぶ、それらを、手に入れることは、たまらない楽しみです。
まして、それが特別な力を持った『異本』なら?
世界中を旅す…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文章力が半端じゃないですね。
40th Memory Vol.30(地下世界/シャンバラ/??/????)まで読了。
最も驚かされたのは、テキストの確かさです。
添削的な視点では突っ込みどころが見当たらないほど、過不足のないスマートな文体でビックリしました。
作家を目指すような人は、このくらいの文章を書かねばならんのだなぁ、と勉強になります。
それでいて、自分の技量をひけらかすようなクドさもない。
文章が上手くても、ダラダラと自分のテキストに酔ってしまう書き手も、アマチュアには少なくないですからね。
それと、設定の見事さにもうなります。
長編作に相応しい、素地を備えた物語設定ですよね。
このアイディアなら、どんな展開…続きを読む - ★ Good!シニカルなジャズを読むよう、或いは前後不覚に陥るよう
どうしてか酒とタバコとアンティークな香りがするダークな奇譚。
何処までも灰色と白色で象られた世界に赤いドレスを着た少女の姿が躍動的に映えるような錯覚を起こす一本。
周りの世界は静かなのに主人公と少女だけがシニカルな会話を繰り広げながら、『異本』という奇々怪々なアーティファクとがちらつく。
776冊の異本。
シェヘラザード。
箱庭。
ミステリアスで独特な設定と生き生きとした常識はずれな彼らに読んだ貴方は思わず釘付けになるでしょう。
『異本』というアイテムを蒐集するという明確な目的で物語は進むのに、そこにまつわる不可思議の数々。作者の権謀術数と作品の色気に嵌れば後は脳みそが浸かってい…続きを読む