概要
人々に、いわゆる”超能力”というものが発現し、社会がそれを前提として再構成されつつある時代。
それに合わせた新たな法律作り、ルール作りが進められる中、超能力の暴走による事故も多発し、制御するためのリミッター開発のほか、何故そのような能力が発現したのかという研究、更にそれ高めるべきか、抑えるべきかという議論が熱く行われていた。
高校二年生の清楓は超能力はあるものの、ペットボトル1本を浮かせられるテレキネシスと、1mだけテレポートができるという異能というにはちょっとしょっぱい力。役に立たない力でも一定レベルの能力があるからと、色々と超能力を理由とした生活の制限を受けている。
そんな彼女がある日、夜間に複数人、一人に対して銃口を向けているという場面に遭
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!着眼点が魅力的なSF群像劇。ほろ苦くても後味は甘い。
『一匹狼は群れたがる』は超能力を中心軸に据えた作品ですが、よくある超能力アクションでも超能力探偵ミステリでもありません。
超能力が認知された社会に生きる人々が織りなす、社会派シリアス人間ドラマと、甘々純愛ラブコメが交互に展開される「苦くて甘いSF群像劇」となっております。
「人類の一定数に、超能力という身体拡張が起こった場合、少数派の超能力者たちには、どのような法的・身体的制御が行われるか?」という視点で世界設定が構築されており、SFファンはその思考実験を楽しめることでしょう。
リアル志向に振り切った社会派『X-MEN』と例えられるかもしれません。
登場する超能力はテレポート、テレキ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!超能力リスク社会で、きみと群れる!
近未来、人類に超能力が発現した社会。超能力は必ずしも万能ではなく、ちょっとしたテレポートやテレキネシス、テレパシーを可能とするものに過ぎない。とはいえ超能力が暴走した場合には事故が起こってしまうため、超能力に対するリミッターが開発されたり、超能力者に対する行動制限が課されたりしている。つまり、超能力は恩恵であるというよりは、むしろ障害として、超能力者を悩ませている。
主人公の清楓もまた僅かばかりのテレキネシスとほんのちょっとのテレポートができる女子高生だ。そんな彼女が夜中に野良犬を拾ったところから物語は転がり始める。野良犬とは自称に過ぎず、実際には窪崎という名前の飄々とした男性、それも科学…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一匹狼たちが出会い、化学変化を起こす
全ての人間が何かしらの超能力を持った世界。超能力はA〜Eランクに分類され、主人公・日夏清楓はCランク。超能力が日常となり、犯罪や事故防止のため、社会全体で管理や整備が進んでいます。
近未来で非現実的ではありますが、超能力者への対応がすごく現実味を帯びている感じがして、どこか身近に思えます。超能力というとバトルの印象が強かったのですが、この物語はどうして超能力が生まれたのか?と謎を追ったり、清楓をはじめとする超能力が原因で孤独になってしまった登場人物たちの人間ドラマが描かれたりしていて一味違った作品です。
番外編も本編同様のボリュームで起承転結があり、読み応えたっぷり。一匹狼たちが出会うこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!近未来超能力ストーリー、バトルではなくドラマで魅せます!
普遍的な現代に現れた超能力、それにより多くの変換を求められた社会のルール、今作は変換期の中で生きる男女数名の視点から進む物語です。
あらすじに書いてある通りバトル物ではなく、どうして超能力が生まれたのか? さらなる成長は可能なのか? 人知を超える力を人知により掌握できる力にしようと科学的観点で綴られるドラマ。
主人公の一人「清楓」は超能力を持つ少女、しかし半端な力と国によってつけられた制限により不自由な毎日を送っています。
超能力を持っているのに持っていない人よりも不便な生活を強いられている設定が面白く作品にどんどん引き込まれていきます。
そんな燻っていた彼女が「窪崎」と言う一…続きを読む - ★★★ Excellent!!!非リアルなのにとってもリアル!!
番外編を含む最終話まで読み終えました!
最後が、最後もーーー!とっても良くって……
この小説は一人の女の子を中心とした群像劇で、そのまとまり具合がとにかくすごい。
ミステリアスな超能力世界のお話で非リアルなのに、すんごーく現実味があり、本当にこんな世界があるのではと、のめり込んでしまうという。
そしてなんといっても魅力的な登場人物たち。
特に男性陣たちに乗り移ってしまう勢いで、私は彼らと一緒に悩み、悲しみ、最後はうるっときてしまいました。
読者へきちんと伝えるという文章力と全体のバランスもすっごいなと、素人なりですがとても感じてしまいました。
私はこの作品の実写映画が個人的にとっても…続きを読む - ★★★ Excellent!!!超能力という新たな力を得た人類、心のあり方が問われる
現代社会に出現した超能力。人はその強さをランク分けし管理する。本当に超能力が出現した場合、国はこうやって国民を管理するんだろうなと感じさせてくれ、納得のいくものです。
テレポートの能力を持っていたら、窃盗なんてし放題ですから、対策の取ってあるお店にしか入れないですし、気軽に買い物や外食も出来ないというリアリティ。
なんでしたら、その対策用の機械はなぜ、超能力に干渉し対策となるのか、なんて細かい設定が緻密に盛り込まれています。
その緻密な設定に人間関係を加え、甘酸っぱいロマンスを繰り広げる。どんな力を得ようとも、力を使うのは人間であり、そこには人の想いがあり、色んな感情があるんだということ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!微妙な異能持ちの彼女と大型ワンコな彼の硬派で甘い近未来ファンタジー
超能力が普遍的に確認されるようになり、ランク付され、管理されるようになった時代。
「自身テレポート一メートル、念動力推定二キログラム、Cランク」
という微妙な超能力を持つことで、店舗への入店を制限されるなど不自由はあるものの、高校生としてのんびりと過ごす清楓は、ある日、ひょんなことからその能力を使って大型犬のような青年を拾ってしまったことから、やがて厄介な事件に巻き込まれ——。
緻密に作り込まれた超能力が存在するという世界観と、それを描き出す硬質な描写でまず惹き込まれ、さらに、主人公の清楓さんが狡くどこかアンバランスな大人の窪崎に惹かれていく様子がなんとも甘酸っぱいのです……!
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!孤独に生きる狼達よ、群れを成せ
現代社会に超能力が出現したらどうなるか?をテーマに描いた作品です。
この物語に出てくる「超能力」は、いわゆるバトルもののような派手なものではありません。「1メートルだけテレポートできる」「半径2キロメートルだけ物質を飛ばせる」「触れた人の心を読む」などのように、制限のかかったものです。
作中ではこれらの超能力が個を際立たせる意味合いとして用いられており、彼らの役割を明確にしている所が本作の最大の魅力でしょう。
超能力のリミッターつきでないとお店に行かれない(テレポートできてしまうから)、超能力の研究施設など、実際に人類に超能力が出現した場合の法律や社会のルールがしっかりと作り込まれている…続きを読む