着眼点が魅力的なSF群像劇。ほろ苦くても後味は甘い。

『一匹狼は群れたがる』は超能力を中心軸に据えた作品ですが、よくある超能力アクションでも超能力探偵ミステリでもありません。

超能力が認知された社会に生きる人々が織りなす、社会派シリアス人間ドラマと、甘々純愛ラブコメが交互に展開される「苦くて甘いSF群像劇」となっております。

「人類の一定数に、超能力という身体拡張が起こった場合、少数派の超能力者たちには、どのような法的・身体的制御が行われるか?」という視点で世界設定が構築されており、SFファンはその思考実験を楽しめることでしょう。

リアル志向に振り切った社会派『X-MEN』と例えられるかもしれません。

登場する超能力はテレポート、テレキネシス、テレパスなど、超能力設定の中では普遍化されているものばかりですが、その運用の仕方がとても面白かったです。

超能力の発動によって人間関係の機微が描かれたり、映像として印象的なシーンが生まれたりするだけでなく、「超能力が発動しなかったこと」によっても、物語が駆動していきます。

ライトな語り口ですが、ライト層以外にとっても唸らされる「通な作品」に仕上がっていると思います。あらすじを読んでピンときた方は、是非読んでみてください。

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