一匹狼は群れたがる

作者 MACK

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★★★ Excellent!!!

番外編を含む最終話まで読み終えました!
最後が、最後もーーー!とっても良くって……

この小説は一人の女の子を中心とした群像劇で、そのまとまり具合がとにかくすごい。
ミステリアスな超能力世界のお話で非リアルなのに、すんごーく現実味があり、本当にこんな世界があるのではと、のめり込んでしまうという。

そしてなんといっても魅力的な登場人物たち。
特に男性陣たちに乗り移ってしまう勢いで、私は彼らと一緒に悩み、悲しみ、最後はうるっときてしまいました。

読者へきちんと伝えるという文章力と全体のバランスもすっごいなと、素人なりですがとても感じてしまいました。

私はこの作品の実写映画が個人的にとっても見てみたいです(///∇///)
めちゃくちゃオススメなのでぜひ読んでほしい作品です。

★★★ Excellent!!!

現代社会に出現した超能力。人はその強さをランク分けし管理する。本当に超能力が出現した場合、国はこうやって国民を管理するんだろうなと感じさせてくれ、納得のいくものです。

テレポートの能力を持っていたら、窃盗なんてし放題ですから、対策の取ってあるお店にしか入れないですし、気軽に買い物や外食も出来ないというリアリティ。
なんでしたら、その対策用の機械はなぜ、超能力に干渉し対策となるのか、なんて細かい設定が緻密に盛り込まれています。

その緻密な設定に人間関係を加え、甘酸っぱいロマンスを繰り広げる。どんな力を得ようとも、力を使うのは人間であり、そこには人の想いがあり、色んな感情があるんだということを教えてくれます。

緻密な設定なのに、説明を押し付けることなく、日常の中で然り気無く教えてくれますし、ラストまできっちりと魅せてくれるこの作品を、是非とも読んでほしいです。

★★★ Excellent!!!

 超能力が普遍的に確認されるようになり、ランク付され、管理されるようになった時代。

「自身テレポート一メートル、念動力推定二キログラム、Cランク」

 という微妙な超能力を持つことで、店舗への入店を制限されるなど不自由はあるものの、高校生としてのんびりと過ごす清楓は、ある日、ひょんなことからその能力を使って大型犬のような青年を拾ってしまったことから、やがて厄介な事件に巻き込まれ——。

 緻密に作り込まれた超能力が存在するという世界観と、それを描き出す硬質な描写でまず惹き込まれ、さらに、主人公の清楓さんが狡くどこかアンバランスな大人の窪崎に惹かれていく様子がなんとも甘酸っぱいのです……!

 清楓さんはそれでも受け身で待ち続けるわけではなく、時には自分の能力と創意工夫で危機を乗り越え、大切な人のためには自らの危険も顧みない強さを発揮します。次第に窪崎も、そして事件を通して関わった富沢さえも惹きつけられていき……。

 彼女の持つ能力、暗い過去と親友との関わり、秘められた祖父の思いなど、複雑に絡みもつれた人間関係の糸が、やがて彼女と窪崎さんの想いで切り開かれていくラストは本当にああよかったー! と幸せな気持ちになれる見事な大団円でした。

 おすすめです!

★★★ Excellent!!!

現代社会に超能力が出現したらどうなるか?をテーマに描いた作品です。

この物語に出てくる「超能力」は、いわゆるバトルもののような派手なものではありません。「1メートルだけテレポートできる」「半径2キロメートルだけ物質を飛ばせる」「触れた人の心を読む」などのように、制限のかかったものです。
作中ではこれらの超能力が個を際立たせる意味合いとして用いられており、彼らの役割を明確にしている所が本作の最大の魅力でしょう。

超能力のリミッターつきでないとお店に行かれない(テレポートできてしまうから)、超能力の研究施設など、実際に人類に超能力が出現した場合の法律や社会のルールがしっかりと作り込まれている所も非常に面白いです。
個人的には、なぜ超能力が出現したのか?という研究内容もしっかりと筋道立てて考えられている所に驚きました。

また、主人公である女子高生の清楓と科学者である窪崎のロマンスも物語に彩りを添えています。
目的の為には手段を選ばない、接触テレパス(触れた人の心を読む)の窪崎は、当初は利用する為に清楓に近づいていましたが、彼の能力を知っても懐に飛び込んでくる純粋な清楓に、次第に彼女を大切に想うようになります。
しっとりと読ませる、落ち着いた雰囲気の物語ですが、この恋愛パートのときめきも本作の魅力のひとつです。
色気のある大人の男性の魅力に、惚れない女性はいないのでは?というかっこよさ。
ぜひ胸をときめかせながら読んでいただきたいです!

物語に出てくる一匹狼達。彼らは孤独に生きつつも、それぞれの立場や能力を使ってお互いを補い合います。
最後に彼らが群れを成すシーンは圧巻で、思わず胸をうたれました。

現代社会の中で孤独に生きるすべての者達に読んでもらいたい、素敵な作品です。

★★ Very Good!!

もしこの世界に「超能力」が存在したら……という命題に、社会性を持って切り込んでいく新鮮な物語でした。

ともすれば、超能力バトル展開になりがちなところ、立場や思想も異なる複数人の「狼」達が繰り広げる群像劇で、その異能の力のあり方が描かれ、一味違った魅力に溢れています。

仮に現実に超能力があっても、それを暴力的に使わないだろうなと思わせる作者の方の「異なる存在」に対する思慮が感じられて、良かったです。

★★★ Excellent!!!

超能力を持つ人間を中心にした物語。
派手な戦闘シーンはないのに、ストーリーはそれを超える壮大さを感じさせ、まるで映画を見ているようです。
所々に謎が散りばめられ、いつの間にか先が気になってどんどんページをめくっている自分がいました。
作者さんの表現力も素晴らしく、実際にこういう世界があるのかも知れないと思えるほど自然。
超能力をめぐるストーリーにスパイスのように振りかけられた恋模様も、良いアクセントになって物語を深めます。
とても面白い作品なので、ぜひ沢山の方に読んで欲しいと思いました。

★★★ Excellent!!!

近未来の超能力ものというと、選ばれし者として描かれ、その恍惚と悲哀に押しつぶされそうになる主人公とその悲劇…という一昔前の固定イメージがあって、ちょっと重くて好きじゃないかもしれないという先入観がないわけではありませんでした。
が、そんなクソ先入観は、ものの見事に、とても気持ちよく裏切られました。

家庭の温かさを知らない女子高生と、ハードボイルドテイストを持つ研究者と、影のある公務員と……。登場人物たちが少しずつ動きを加速していくにつれ、物語は思わぬ方向に進んでゆき、次の話が待ち遠しくてたまらなくなりました。
「超能力」というアイテムが核にあるとはいえ、登場人物たちそれぞれの精神や愛や人生観の変化と成長の物語でもあります。
そして、かわいくて素直でやさしいけれど一本筋が通っていて、かしこいのに茶目っ気もある少女は、作者の理想の女性像、あるいは作者自身の姿が投影されているのかもしれません。
彼女の周りの人々を本人の気づかぬうちに温かな空気で包み込んでいく主人公の姿と、最終的には巨悪も極悪人もいない結末には、少し物足りなさを感じる方もあるかもしれません。
しかし、読後感のこの爽やかさとほのかな温もりは、コロナで閉塞した中、ジワジワと心をむしばむ鬱屈した気分を、パッと晴れやかにしてくれました。
未来の姿は決して暗いばかりではない、人類はもしかしたら捨てたもんじゃないかもしれません。

凛とした精神を持つ志高き狼たれ、されどその心にはやさしい春風をまといたまえ。
そんなメッセージが心にしみました。

★★★ Excellent!!!


 近未来もの、を舞台にした話で陥りがちなユートピア/ディストピアではなく、あくまで現在の日本の延長線上にある未来の日常観、が素晴らしい作品です。

 変革する最中の近未来の社会の中に根付く問題に関わる人物達の物語、という点において、個人的にはブレードランナーを想起しました。
 ともすれば重くなりがちなテーマを、魅力的なキャラクタ達を通して軽快に、時にシリアスに描いていて、場面ごとにどんどん感情移入していきました。

 人々の未知のものに対する不安や恐れと、それを抱えていたり、相対したりする人物達の関係性がしっかりと描写されていて、極端な使命感を持つ善人や悪人ではなく、世俗的な行動原理を持つ「普通の人たち」の物語として綺麗にまとまっていると感じました。

 超能力というものがもたらす事件を、超能力と、そして登場人物達の個性でもって解決していくという展開の集約も最高でした…!

 日常とサスペンスの相互性も秀逸で、日常を壊しにくる事件が起きる度にハラハラします。

 人間が持つ普遍的な価値観を、そこに新たに現れた超能力がどう変えていくのか、そして変わらないものがあるのか、変えてはいけないものがあるのか、そんなバランスを読み手にも考えさせるテーマが本当に見事にまとまっていると思いました。


 この物語は完結しても、きっとこの作品の世界そのものは完成していない。
少しずつ変化していく過渡期の話でもある。
 それは現実に生きる人間自体もそうだし、世界は常に変わっていくという、正しい意味での作者の『世界観』が表現されていると思います。



 

★★★ Excellent!!!

こんな世界が来ることがあるのだろうか。進化ではなく退化と言う言葉があった。かつて人間が行ったことを考えると、人間はむしろ退化しているのかも知れない。オーパーツなるものがある。その退化の過程で、かつて人間に備わっていた能力が残ることがあるのかも知れない。なんて考えたりして。
 一匹狼が群れをなすと言う展開が面白いし、それはまた一人では生きていくことが難しいことでもある。加えてどこかでいろいろと関わりが、偶然か必然なのかできていく。
 前作とは全く違った畑という感じがありとても楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。