概要
1/21 続編更新始まりました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354055365182771
※昭和初期という時代設定ゆえ、現代では不適切、差別的な表現が含まれています。ご注意ください。
昭和初期を舞台に、初老の開業医と美少年の書生、謎の背広の男が異形にまつわる謎に巻き込まれてゆく。
元軍医の忠治(ちゅうじ)は、軍時代の部下で政府の仕事をしている島根(しまね)の頼みにより、奇妙な事件に駆り出されることがしばしば。伴う書生の千太郎(せんたろう)は剣の腕が立ち、いつしか『ちぐはぐ』な三人での珍道中が多くなる。
そんな中、忠治はそれぞれの事件により、過去を思い出すことが増えてゆき……。
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一度、別
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!時代らしさに拘りを感じ、モチーフには親しみやすさを感じる作品
【物語は】
ある診療所を舞台に幕を開ける。選び抜かれた表現で時代らしさを醸し出しているのが、印象的な作品だ。主人公が開業医をはじめた経緯などが、モノローグによって描かれている。
時刻はとうに夜中を回っていた。そんな折、主人公の思考を停止させるように、扉を叩く音が。格子戸に映った姿、時刻が時刻であることもあり彼はゾッとするのだった。
【物語の魅力】
時代らしさに力を入れている作品。冒頭では、ある出来事が描かれている。匂わせで終わっているが、これは何かの伏線なのだろうか?
明確な何かは書かれていないが、冒頭に日付が書かれていた為、恐らく過去の出来事だろう。この出来事が以降、彼の人生にどう関わっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「色々と蓋をして、見えないふりをして、何とかかんとかやってるんですよ」
昭和初期が舞台、主人公が元軍医と元部下、その元軍医の書生…と、古き良き怪奇小説を思わせる舞台装置が、まず興味を掻き立てられます。
扱う事件も、古い因習や伝承に根ざしつつも、人が作ってしまったものというのも、「昭和初期」という舞台設定から感じ競れる不安、不安定を感じさせられるものばかりです。
しかし鬱々と感じない描写の妙が感じられます。
登場人物の言葉、仕草が、舞台設定に相応しい情景を思い浮かべさせてくれました。アスファルトよりも土を、コンクリートよりも雑木林を、何よりも黒をブラックではなく漆黒だとイメージさせられる文体は、この物語に流れる伝奇の雰囲気を否応なく高めてくれていると…続きを読む - ★★★ Excellent!!!闇に潜むのは物の怪か、それとも——?
元軍医の忠治と、その元部下の島根、そして書生として忠治の家で暮らす千太郎。島根の持ち込む「人ならざるモノ」が関わっていそうな奇妙な事件を巡る、昭和初期の混沌とどこか郷愁を感じさせる妖しくも美しい怪異譚。
重厚な描写はもとより、飄々とした、それでもどこか闇を感じさせる忠治さん、彼に執着する俳優のように美しい島根と、忠治さんを慕うが故に島根を邪険に扱う千太郎の三人のやりとりは軽妙で思わずニヤリとしてしまいます。
そして、各話しっかりと練りこまれた怪異譚は、ただの怪談では終わらず、人の闇と情念が深く関わる事件の謎が解ける時、儚い自然や海などの風景を織り込んでその悲しみなどの心の機微を表現…続きを読む