目々

　平成の初め、バイトに明け暮れる不良学生は、田舎の祭りを泊まり込みで手伝う仕事を紹介される。迎えのバスに乗ってから、『風習』として要求される奇妙な事柄。 　ひとつひとつは小さな、し…続きを読む

　古物店「鬼灯堂」の店主の朝日奈と、店に入り浸る少女・みつる。二人はそれぞれ秘密を抱えて、それでも穏やかなひと時を過ごす。 　それぞれの望みはささやかなもの。互いの本心を明かさぬま…続きを読む

　昭和初期の日本を舞台として、元軍医の忠治と彼の元部下で特務機関勤めの島根、書生の千太郎。彼ら三人が、異形にまつわる奇妙で猟奇的な事件に巻き込まれていく。読み進めるほどに人の執着と…続きを読む

　糸巻き工場の仕事、拾ってきた人魚、深夜ラジオに紛れる声、同じ時間にベルを鳴らして過ぎていく自転車。妙な現実味を帯びた異様なものたちは、水面の泡のように不意に浮かび上がっては消えて…続きを読む

　いくつもの時代、いくつもの状況、いくつもの位置。幻想と予兆に満ちた世界を、「夢路」はいつでも兄として彷徨する。どの情景も美しいのに、どこかに傷を隠しながら、寂しい別れを孕むように…続きを読む

　雨の中の電話ボックス、学校で囁かれる噂話、夜闇に響く時計の秒針音。日々見慣れたはずのものたちは、ふとした瞬間に見知らぬ異貌をさらけだす。歩き慣れた安全な散歩道が、一歩踏み外せば奈…続きを読む

　平穏な日々によぎる、奇妙なものたちの影。静かな筆致で紡がれる情景はどれも平凡で見慣れたもののはずなのに、いびつなものたちをさり気なく、それでいてはっきりと露わにしていく。日常の皮…続きを読む

　戦前の奥越、その山里を舞台に伝えられる不可思議なものたちの奇譚。異界と人里の距離は近く、日常に寄り添うように奇妙なことどもは現れる。派手さもケレン味もなく、淡々と描かれるさまざま…続きを読む

　部屋に唐突に落ちていた天使。それは完璧と言えるほどにに美しく、乳と蜂蜜を貪り、「私」の部屋に存在を続ける。意図も目的も、ともすれば生命あるものかすら不明な天使。暴こうとも覗こうと…続きを読む

　悪い夢に似て、繰り返しては置いていかれる種々の残骸。悲嘆と後悔の滲む景色は、ひたすらに美しい筆致で描かれる。読み終わって、タグの「墓穴を掘る」を見たときのやるせなさ。読み返すほど…続きを読む

　言葉の裏を読むのは必要なこと。けれど、額面通りに受け取らないのも問題。結果どうなるかは神のみぞ知る訳です。確かに怖いけどもこう振られたらネタに走りたくなるシチュエーションだこれは…続きを読む

　薄暗くて疚しくて侘しい、それでいて奇妙に魅力的な見世物小屋。その目玉の見世物にまつわる因果と人間のありさまを、軽妙な香具師の語り口で垣間見せてくれます。 　懐かしいようで悍ましい…続きを読む

　物語を書くこと、読むこと、理解すること、考察すること。作品と作者にまつわる諸々は、ともすればとても危ういところで平穏を保っているのではないかと想像する、そんな夢の話です。 　おぞ…続きを読む

　事故物件に潜む恐怖と、ぶち壊される普通の日常。当事者の恐怖も驚愕も、なるほどそうなるよなあと納得せざるを得ません。これは仕方ない。 　読みやすく、きっちり怖く、確かに驚愕する。概…続きを読む

　『怖い』の表現、それがあらわれるまでの供述のしかたが巧みです。読者に想像させる余地があり、だからこそより恐怖感が増します。この恐怖をどう解釈するかは、個々によってさまざまなものが…続きを読む

　普通の人々の生活に、落とし穴のように出現してはまた消える、ささやかだったり思いのほか深刻だったりするような『不思議なものたち』。それらを自然に、ごく当たり前のようなトーンで語って…続きを読む

　恐怖と諧謔、読んでいるうちに身のうちがざわざわとするような嫌な感覚がまとわりつくような、奇妙な話ばかりです。悪意や害意などの何かしら悍ましい、忌むべきものや理解しがたいものたちを…続きを読む